パリオリンピック卓球男子団体、準決勝へ 張本智和は信条を曲げても「勝ちにこだわる」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 ロジカルな張本がそれだけの決意を込めた。そこに意味があるだろう。何しろシングルス準々決勝で中国の樊振東に敗れたあと、彼は淡々とこう言ってのけていた。

「たいていの結果は、予想されていたようになるもので、自分が第三者だったら、『樊振東と張本のどちらが勝つか』ってなったら、『樊振東』って答えるはず。そこがすべてですね。4年後に、『どっちが勝つ?』ってなったとき、『たぶん張本じゃない?』ってなったら、いよいよ自分の金メダルだと思うので。大方は言われたように進んでいくし、そう言われる3~4年間にしていかないと」

 なるようにしかならない、が信条なのだろう。しかし、それを曲げても「勝ちにこだわる」と言った。

 今回の団体戦に懸ける気持ちは強い。技術よりも体調の調整を心がける。混合ダブルス、シングルスと戦い続け、肉体を酷使している。足が攣(つ)りそうにはなっても、そこは「言い聞かせて」やっているという。

 8月7日、3大会連続のメダルをかけて、日本男子卓球はドイツを下したスウェーデンとの準決勝に挑む。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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