平野早矢香が考える打倒・中国の戦術 早田ひなのダブルス起用、「異質ラバー」を使う伏兵対策も必要 (3ページ目)
――インドのような独特なタイプの選手を攻略するには何が大事になってきますか?
「基本的に異質ラバーの特徴は、長くて深いボールが打ちにくく、そんなに強く打てません。回転量の多いボールと少ないボールを混ぜながら、重要なことは回転量の少ないボールをうまく使うこと。だから、長くて回転量の少ないサーブなども効果的だと思います。
ポイントは、打点を下げないこと。打点を下げれば下げるほど回転をかけて持ち上げるしかなくなり、相手のボールにさらに回転が上乗せされてミスをさせられたり、ボールが浮いてしまったりします。回転量の多い中国の選手が苦戦するのはそのためです。
そういう悪循環に陥らないために、ボールの深さと打つ時の打点の高さも意識しながら、異質ラバーでちょっと打たせるくらいの余裕を持たないといけない。『打たれるのが嫌だ』ではなく『打たれても大丈夫。返せる』という前向きな気持ちと、対応できる技術が大事です」
【パリ五輪代表を逃した伊藤美誠の「実績と偉大さは何ら変わらない」】
――東京五輪で混合ダブルス金、女子団体銀、女子シングルス銅と3つのメダルを獲得した伊藤選手が、パリ五輪の代表メンバーから漏れました。伊藤選手についてはどう見ていましたか?
「2021年の8月に東京五輪が終わって次のパリ五輪まで約3年しかなく、2022年3月には代表選考レースがスタートしたので、気持ちの切り替えがすごく難しかったと思います。伊藤選手は『東京五輪で絶対に金メダルを取る。それしか見えない』と感じるほど練習にのめり込み、周りが心配になるくらい東京五輪に懸けていましたから。
そうしてパリ五輪の代表選考レースで出遅れて、体調不良もあって本当に苦しかったと思います。でも、世界選手権の時にやっと肩の荷が下りたというか、すごく伸び伸びとした伊藤選手らしいプレーが見られましたね」
――世界選手権では、監督顔負けのベンチワークで選手をサポートする姿も話題になりましたね。
「パリ五輪の代表は逃しましたけど、世界ランキングは今も日本の女子選手の2番手ですし、世界の第一線で活躍している選手ならではの目線でアドバイスできたんだと思います。ちょっと引いたところから試合を見たからこそ気づいた部分があって、それがほかの選手たちの役に立ったでしょう。当然、悔しいという感情もある中で、卓球の面白い部分があらためて見えてきて、いろいろな発見があったんじゃないかと思います」
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