新たな日本女子卓球の「顔」へ。「みうみま」を破った「Wみゆう」が五輪選考会で見せた進化 (4ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi

"東京五輪組"ベスト8敗退も、石川は好調ぶり示す

 長﨑、木原と着実に力をつけてきた若手が輝きを放つ一方で、東京五輪組がそろって準々決勝で姿を消したのも、今大会の大きなトピックとなった。

 伊藤と平野は前述の通りだが、2月で29歳を迎えたベテラン・石川佳純の調子はどうだったのか。

 準々決勝で戦ったのは、今大会の女王・早田。「だいぶ勝てていない」と話していた石川だが、打球の回転量や緩急、長短、コースの打ち分けと、長年の経験で培ったさまざまな戦術・技術で相手を崩していく。「全体的には試合のペースを握っていける部分もあったし、内容的に悪くなかった」と話すように、リードしていたゲームはきっちりとものにした。

 しかし、3−3と最終ゲームにまでもつれると、先に5点目を奪いチェンジコートをする優位な展開に持ち込むが、チャンスボールのミスから流れが変わって早田が逆転。その後は一進一退の攻防となったが、最後は早田が11-9でゲームを奪い、勝利した。

 熱戦の末に敗れ、14歳から14大会連続で世界選手権に出場してきた記録がストップした石川。それでも「気持ち的には今までの苦しいばかりの試合よりは楽しんでできた」と、試合中は躍動し、はつらつとしたプレーを見せていた。世界最高峰の技術力も健在で、その好調ぶりは言わずもがな、というところだろう。

 5〜8位決定戦1回戦で、ゲーム中に右足首をひねって痛めるアクシデントに見舞われたが、自身のインスタグラムで「足は大丈夫」と報告。出場を予定している、世界ツアー「シンガポール・スマッシュ」(3月7〜20日)での吉報を待ちたい。

 これまで世界の最前線で日本女子卓球界をリードしてきた石川と、伊藤たち"黄金世代"。そこに割って入る存在として、今大会、長﨑と木原が大きなアピールに成功した。

 国内選考会を重視する方針で進んでいく今回のパリ五輪選考レースでは、例年以上に厳しい戦いが待っているだろう。そこで彼女たちふたりが突き抜け、世界選手権に続いて五輪への切符も手にするのか。そして、新たな日本代表の「顔」として飛躍を遂げられるのか。"ダブルみゆう"の活躍から目が離せない。

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