2021.01.07

水谷隼は「日本の卓球を変えたい」。夢が結実した五輪の銀メダル

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

PLAYBACK! オリンピック名勝負ーーー蘇る記憶 第45回

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。

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リオデジャネイロ五輪、水谷隼はシングルス銅メダルを獲得。団体でも銀メダル獲得に貢献した 長らく女子ばかりが注目されていた日本の卓球。その視線を男子に向けさせたのが、2016年リオデジャネイロ五輪に出場した水谷隼だった。

 日本卓球協会が男子ナショナルチームの若返りを図っていた05年、水谷は史上最年少の15歳10カ月で世界選手権代表に選出された。同年から、2歳上の岸川聖也とともに、中学時代からドイツのブンデスリーガでプレー。自ら積極的に道を切り拓いてきた。

「ドイツへ行ったのが、人生最大の転機だったと思います。日本の練習法を変えてやろうという意識もありました。当時の日本は全員が同じメニューで、気持ちよく打たせる練習が多く、それぞれの選手が持っている個性を活かせない環境だった。でも、ドイツは一人ひとりのメニューが与えられて、練習でも相手の弱点を突いてミスをさせる。いいところを見せないと試合で使ってもらえないので、練習から勝負なんです。昔から挑戦することが好きだったし、日本の卓球を変えたい、そして、強くなりたい気持ちがありました」

 こう振り返る水谷はさらに08年からの3シーズン、卓球王国の中国リーグに参戦。トップ選手の練習パートナーの役割もあったが、他の国では使わない特殊な用具や、有力選手の鋭い前回転がかかった重い球にも慣れた。12年7月、世界ランキングを自己最高の5位に上げて臨んだ自身2回目の五輪出場のロンドン大会は、第3シードでメダルの期待もあったが、ベスト16で敗退して団体戦も5位。同じ大会の団体戦で銀メダルを獲得した日本女子に話題を奪われていた。