Tリーグで驚異の13連勝。早田ひなが成長できた要因を自己分析した (2ページ目)

  • 栗田シメイ●文 text by Kurita Shimei
  • 池田清太郎●写真 photo by Ikeda Seitaro

――意識やプレースタイルで変えたところはありますか?

「もともと私のスタイルは両ハンドドライブが特徴。これだけ身長(167cm)があるので有利な部分もあるんですが、サーブ・レシーブでの細かい台上の技術だったり、そこからの展開、駆け引き、広がりが変わりましたね。とくに2球目、4球目、6球目、サーブからの3球目、5球目は意識的に変えていきました。

 これまで自信がなくて手探りでやっていた部分が、試合を重ねることで迷いなくプレーできるようになっていきました。そういった技術や戦術の広がりの部分で、うまくポイントを取ることができるようになりました。自分の得意な両ハンドにどうつなげるか、いかに持っていくか、という練習は本当にたくさんしました」

――戦術の幅が広がり、バリエーションも増えたということですね。

「そうですね。普段とは違う選手と練習できたのは大きかったですね。たとえば中国選手とはいつも一緒にいるわけではないですが、チームメートの常晨晨(チャン・チェンチェン)の練習を見て、『あ、こんな技術もあるんだ』と驚きました。そういった戦術や技術を取り入れたことも多かったですね。そういう引き出しの数は、この1年で増えたと自分でも感じています」

――開幕戦で、トップおとめピンポンズ名古屋所属で台湾代表のエース鄭怡静(チェン・イーチン)に勝利し、その後も勢いに乗って最終的には13連勝でした。この数字についてはどう捉えていますか?

「うーん、最初の頃は6勝0敗で、『あ、私勝ってる!』くらいでした。Tリーグは、公式ホームページにサーブ・レシーブ等の細かいデータを出してくれているんですが、それを見て、『1人だけ勝率100パーセントや』みたいな感じで(笑)。でも、まさか最後まで勝ち続けられるとは......。

 とくに最後のほうは木下アビエルさんとの試合がすごく多くて、個人の成績というよりはチームのために本当に1試合ごとに考えていたので。ファイナルの試合も負ける寸前でしたし、そういう数字面は意識していなかったですね」

――木下アビエル神奈川の劉燕軍(リュウ・エングン)監督も、「石川佳純、木原美悠も伸びたけど、早田の成長が最も印象的だった」と話していました。

「そうなんですね。大きかったは、Tリーグはチームで戦うので、それが私に合っていたことです。団体戦だと監督がいてコーチがいて、選手が5人くらいいて、それぞれの意見を聞きながら試合をできるのがとても大きな力になりました。

 やはり自分では見えない部分、試合中に気づかなかった部分を、いろんな方々から、さまざまな角度でアドバイスをもらうことで、『あ、これも試そう。こっちはどうだろう』というひらめきが、どんどん生まれてきました。だから試合の中で相手に限定させない、戦術を練らさないということがうまくできたと思います」

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