2019.08.02

水谷隼、人生初の大スランプ。
「ボールが消える」から打開の一手は?

  • Photo by Chiba Itaru/AFLO

 2016年のリオ五輪で日本人初の五輪メダリストになるなど、男子卓球界を長らくけん引してきた水谷隼は、来年の東京五輪を最後に日本代表から退くことを表明している。出場が決まれば自身4度目の五輪出場となるが、現時点での世界ランキングは13位で、4位の張本智和、12位の丹羽孝希に続く日本人3番手。来年1月時点のランキング上位2名が選ばれる、シングルスの代表争いで後れを取っている。

「ボールが見えにくい」という目の症状の影響もあり、7月に開催された韓国オープン、オーストラリア・オープン、T2ダイヤモンドはいずれも初戦で敗退した。苦しい戦いを強いられる中、8月から新たにドイツ人のパーソナルコーチを迎えて巻き返しを図る。

 連戦がひと段落した7月31日、水谷は都内で行なわれたイベントに出席。健康的で美しい歯を持ち、活動を通して感動と希望を与えている人物に贈られる「歯が命アワード2019」を受賞し、笑顔を見せた。そんな水谷に、現在の状況や東京五輪にかける思いを聞いた。

4度目の五輪出場を目指す水谷――現在の自分の状態について、どう自己分析していますか?

「最近の大会での結果にも表れていますが、調子はよくないです。これまでの卓球人生の中でも、一番のスランプと言っていいかもしれません。いろんなところが嚙み合っていないのですが、何より気持ちの部分が投げやりになっていたように思います。連戦の疲労もあり、『試合に勝つ』ということより『もういいや、疲れた』という気持ちが上回ってしまった。僕のよくない部分が出てしまいましたね」

――プレー面に関してはいかがですか?

「日々進化していくプレースタイルや技術に、僕が追いつけていない。同時に、自分が30歳になって『弱くなっているな』とも感じています。以前は絶対にやらなかった凡ミスが増えているんです。フッと気を抜いて、トップ選手でいるためにはやってはいけないプレーをしてしまうことも多くなり、『昔だったらこんなプレーをしなかったのに』と思うことがありますね」

――8月からドイツ人のパーソナルコーチがつくことが、状況を打開するきっかけになるかと思います。そのコーチはどういった方なのでしょうか。

「僕が10代の頃にドイツに留学していた時のチームメイトで、ダブルスを組んでいたこともあります。年齢は僕よりも7歳くらい上。彼は選手としては強くなかったですけど、卓球に対する情熱が人一倍ありました。日本に帰ってきてからも連絡を取り合っていて、2017年の全日本選手権ではベンチコーチを務めてくれるなど、ずっと僕に情熱を注ぎ続けてくれていたんです」