ハンドボールで世界へ。本場欧州で戦う日本代表の男女2人は何者か? (2ページ目)

  • 田口有史●文・写真 text & photo by Taguchi Yukihito

 ヨーロッパでコートに立っている姿を見せることが、「日本ハンドボール界へのメッセージになる」と自負する土井は、名門チームでベンチを温めるよりも、たとえ2部でも、自分を必要としてくれているチームでプレーすることを優先したのだ。

 移籍先に選んだシャルトルは、2015-16シーズンには1部に所属していた。シャルトル市からのバックアップもあって財政基盤はしっかりしており、4000人収容の新アリーナの建設も決まっている。ファンの声援も熱く、現在1部に自動昇格できる首位争いの真っ只中(10試合消化して、7勝2敗1分の首位)で、土井もコンスタントに出場して勝利に貢献している。

 1部昇格を目指して上昇気流に乗るチームでプレーすることで、自身パフォーマンスの質もさらに高まっていくだろう。日本ハンドボール界の未来を背負って戦う土井は、世界最強のフランスのリーグで確実に存在感を増している。

 そんな土井の背中を追うように、女子の日本代表選手である池原綾香が今夏に海を渡った。

 日体大で土井の1年後輩にあたる池原が移籍したのは、デンマークリーグトップリーグに所属するニューコビン・ファルスター・ハンドボールクラブ。財政が安定したここ3年ほどで急速に力をつけてきたチームで、2015年にデンマーク代表の司令塔クリスティーナ・クリスチャンセンが加入したことで、人気も一気に上昇した。昨シーズンにはリーグで初優勝を果たし、今季はチャンピオンズリーグに初参戦している。

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