銅メダルの水谷隼、団体戦へ「中国を倒すために努力している」 (3ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

「負けたのに、もう一回、メダルのチャンスがあるのはうれしい。(シングルスでメダルを獲得することは)まだ誰も日本人では成し遂げていないこと。メダルを獲るのと、逃すのとでは、宝くじの一等が当たるか、1番の違いで外れるかぐらいの差だと思う。今までオリンピックに出た日本人選手の分まで、メダルを目指したい」

 3位決定戦の相手となるサムソノフとは、国際大会では4勝3敗の対戦成績であるが、ロシアリーグなどで20戦ほど対戦し、本人曰く、「7:3」で勝利している分のいい相手。しかも、40歳の大ベテランである。

 水谷は第1、第2ゲームを簡単に連取した。第3ゲームを失ったあとの、第4ゲームが命運を分けた。9−5と4ポイントをリードしながら、水谷は追いつかれ、逆転を許す。それでも冷静に水谷はボールを拾い、最後は水谷のロブがエッジに当たる幸運が味方した。

 水谷を小学生6年生の時から知る倉嶋監督が振り返る。

「水谷は相手のボールがエッジやネットにかかっても、すぐにボールに手が出る。ふつうの選手だったら反応できないボールでも、水谷の場合はぎりぎりまでボールを見極めて、素速く反応する。ネット処理やエッジボールへの対応は世界一。3位決定戦でも、ふつうの選手なら反応できない処理が2本あった。ああいうプレーで点を取られると、相手は一気に気落ちする。一つの勝因だと思います」

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