2016.08.13

銅メダルの水谷隼、団体戦へ
「中国を倒すために努力している」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

 3位決定戦が始まる30分前、水谷隼が携帯電話に目をやると、勇気づけられるラインのメッセージが届いていた。妻からだった。

「中国人選手をのぞけば絶対あんたが一番だから、自信持って戦え」

3位決定戦に勝利し、卓球シングルスで日本人初となるメダルを獲得した水谷隼 本当は赤いユニフォームで銅メダルに挑戦するつもりだった。しかし、対戦相手であるウラジミール・サムソノフ(ベラルーシ)が「赤を着たい」と主張し、水谷が折れて水色を選択した。

「奥さんは水色が好きだったみたいで。ちょうどよかった。ついでに靴下も水色があったので、履き替えたらこういう結果になりました。奥さんに報告しなきゃ(笑)」

 水谷はサムソノフをゲームカウント4−1で下し、男女を通じて卓球シングルスにおける初めての日本人メダリストとなった。勝利の瞬間、ラケットを手から離し、床に大の字になって天井を見上げた。日本の第一人者としての重圧から解放されたことを表現したら、自然とそんな行動になっていた。

「ここまで来る道のりが、走馬燈のようにめぐってきて。(第3シードで臨みながら4回戦で敗退した)ロンドン五輪が終わったあと、表向きには『国際大会からしばらく離れる』と言っていましたが、実際には卓球からも離れていたんです。家族の存在が大きかった。どんな時でも前向きな言葉で応援してくれた。勝って、喜んでくれる顔が見たかった」

 3位決定戦のおよそ10時間前、水谷は準決勝で世界ランキング1位の馬龍に挑んだ。日本の倉嶋洋介監督が「絶対王者」と語る馬龍に対し、水谷は過去12戦全敗。この日も水谷は3ゲームを先取された。いきなり下回転のサーブで苦しめられ、少しでも甘い返球となったら、一発でポイントを奪われる。