【卓球】松下浩二のリオ展望「水谷隼は世界王者になれる才能」 (5ページ目)

  • 水野光博●構成 text by Mizuno Mitsuhiro  photo by AFLO

 ただし、もちろん負けたときはその分、批判を受けるのはしょうがない。彼には、「空港で生卵をぶつけられるくらいの覚悟を持たないと」と伝えてあります(笑)。僕も現役時代、感情を出さないポーカーフェイスの選手のほうが何を考えているのか読めず、やりにくかったものです。彼は彼のスタイルのまま、ぜひリオ五輪で大物食いをしてほしいと思います。

 自分のプレーができるか――ということが大事なのは、五輪初出場となる吉村真晴選手も同じです。彼は世界選手権の銀メダルメンバーではありますが、世界選手権と五輪では雰囲気がまるで違います。選手村で有名選手に遭遇したりすると、どうしても舞い上がってしまいがち。普段どおりの卓球ができるかが、ポイントになるでしょう。

 彼は超攻撃型で知られ、世界トップクラスの選手も手を焼くサーブが武器です。ハマったときの試合は、本当に強い。丹羽選手と同じく大物食いの可能性を秘めています。それでいて最近は安定感も向上し、コンスタントに成績を残せるようになっているので、リオ五輪はもちろん、今後も非常に楽しみな選手です。

 男子も女子と同様に、個人と団体、両方でメダルが獲れる可能性は十分にあると思っています。私たちの時代は、五輪に出ては負け、出ては負けの連続でした。やっているほうも、見ているほうも楽しくなかったはずです。しかし今は、メダルを獲ってもおかしくないレベルの選手が複数います。見ている人はもちろん、選手自身もプレッシャーはあれども、やりがいのある時代なのではないでしょうか。

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