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【NHL】ロックアウトが終結するも、4大プロスポーツの一角から脱落の危機? (2ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 1990年代、NHLは瞬(またた)く間に成長し、新しいファンを大幅に獲得。1980年代後半から90年代前半にかけて、平均観客数は約3倍に膨れ上がった。そして元来、アイスホッケーに馴染みの薄いアメリカ南部や西部地域にも球団が拡張され、アイスホッケーは全米で親しまれるスポーツへと発展した。

 しかし、2000年代に入って、その成長に陰りが見え始めた。とりわけ、アイスホッケー不毛の地域と呼ばれていた南部や西部の球団は集客に苦戦し、最盛期から比べると、平均観客動員数は25%ほど落ちたという。

 また、4大プロスポーツ以外の競技の台頭も、NHLの地位を脅かした。中でも際立った成長を見せたのが、アメリカの人気カーレースシリーズ『NASCAR』と、フットボールを中心とした『カレッジスポーツ』で、これらはテレビでも年々、高視聴率を叩き出している。一般人を対象とした最近の調査によると、NASCARとカレッジフットボールを「最も好きなスポーツ」とした答えた人のパーセンテージは、NBAやNHLよりも高いという結果が出ているほどだ。テレビ放映を見ても、NASCARはFOXやABCなど大手ネットワークで中継されているが、NHLはアメリカ国内でNBCしか全国中継されていない。また、ケーブル局ESPNが『イングランド・プレミアリーグ』の中継を開始したことで、MLS(メジャーリーグサッカー)を含めてサッカー人気も徐々にシェアを増やしている。

 そんな状況でのロックアウトが、NHLのメジャープロスポーツとしてのステータスを維持するのにプラスとなるはずもなかろう。しかも、NHLのロックアウトは1994-95年、2004-05年に続いて、19年間で3度目だ。莫大な金額を巡っての交渉ばかり報道され、ファンの介在する余地のないロックアウトがこれだけ頻繁に起これば、ファン離れが加速していくのも当然である。

『ニューヨークタイムズ』紙のジェフ・クライン記者は、シーズンが始まってもファンの怒りは収まらないかもしれない、という趣旨の記事を書いている。

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