【NHL】ロックアウトが終結するも、4大プロスポーツの一角から脱落の危機?
「I'M READY ARE YOU?(そっちの準備はできているの?)」。ファンを不安にさせた新シーズンがようやく開幕する 約16時間に及ぶ長い交渉が終わったのは、日付もすでに変わった現地1月6日――。交渉の会場となったホテルのドアが開き、ゲイリー・ベットマン・コミッショナーとドナルド・フェアー選手会代表がメディアの前に姿を現したときは、朝の5時になっていた。110日以上にも及んだNHL(ナショナルホッケーリーグ)のロックアウト(※注)が、ようやく終結を見た瞬間である。
(※注)ロックアウト=オーナー側がスタジアムや練習場などの施設や敷地への立ち入りを禁じ、選手側との交渉手段とする行為。選手側が行なう『ストライキ』の逆の手法。
新たな労使協定の締結を巡って始まった今回のロックアウト。前協定の失効期日となる昨年9月15日までの締結を目指し、その2ヵ月ほど前からリーグオーナー側、選手会双方が互いの要望を提出していた。しかし、両者の隔たりは大きく、プレシーズン、そしてレギュラーシーズンまでが次々と中止に追い込まれる事態となっていた。
労使協定に含まれる多岐の条項の中で、最大の焦点となったのが、労使間での収益の分配についてだ。前労使協定では、選手側に渡していたリーグ収益の57%を、今回の交渉でオーナー側は46%まで下げようとした。選手会側がこれを突っぱねたことで、10月11日に開幕するはずだった2012-13年シーズンは、延べ600試合以上がキャンセルを余儀なくされたのである(1月27日に予定されていたオールスターゲームも中止となった)。
最終的にその分配率は50%で落ち着き、懸念されていた『全日程中止』という事態だけは避けられた。短縮して行なわれる今シーズンは1月19日に開幕する予定で、通常82試合のところを各チーム48試合で行なうことになりそうだ。
NHLは2004-05年シーズン、同じようにロックアウトですべての日程をキャンセルするという苦い経験を味わっている。今回はその最悪の事態を避けたわけだが、これで安心というわけではない。NHLの『北米4大プロスポーツのひとつ』というステータスが、近年、脅かされていると言われているからだ。
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