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河村勇輝が1月下旬にコートに復帰 NBA公式戦にも今季初出場のなか今後の進むべき青写真とは? (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Daisuke Sugiura

【攻守における課題と今後の展望】

河村の背番号はGリーグでは11、NBAでは8をつけている photo by Getty Images河村の背番号はGリーグでは11、NBAでは8をつけている photo by Getty Images そんな状況下でも可能性を上げるために、取り組むべきことは何なのか。

 まずオフェンス面でステップアップするための当面の課題として、ニックス戦後の河村は決定力の強化を挙げていた。

「ペイントアタックしたあとのスコアのところです。3Pだけじゃなく、ミドル、フローターだったりは、(休んでいた)この3カ月間もやっていこうと考えていました。そこはチャレンジしていくべき問題だなと思っていますし、あとは決めきるだけ。引き続きチャレンジしていきたいです」

 実際に昨季の河村はパスワークとドリブルなどで魅了したものの、フィニッシュ(得点を決めきる)で手こずるシーンが見受けられた。Gリーグのシーズン24戦では3P成功率41.0%と好成績を収めたが、フィールドゴール(FG)成功率は40.0%。2Pのシュート時には相手ディフェンダーのリーチ、高さに苦しんだと考えるのが自然な答えであり、河村自身がそれに対する対処を考えてきたというのは理解できる。

 もっとも、オフェンスに関しては、稀有なセンスを持った河村ならば活躍の術を見つけるのではないか。武器は豊富にあり、まだ向上の余地もある。それよりも最大のカギは、ディフェンス面でいかに貢献方法を見出していくかだろう。

 173cmと小柄な河村がコートに立てば、常にミスマッチ(マークされる選手との身長差)が生まれる。もちろんいまに始まったことではないが、アメリカではその幅がより広がるだけに、サイズのハンデを少しでも埋めるための対策は必須だ。聡明な河村ももちろんその点は承知しており、運動量を武器にした守備に主眼を置いている。そして、昨季までよりさらに一歩先に進むため、数値アップを目指すべき部分も見えてきている。単にプレッシャーをかけるだけではなく、目標はスティールの数を増やすことだ。

「チームからも言われているのは、フルコートでピックアップして、プレッシャーをかけること。しっかりと時間をかけさせ、相手のオフェンスのリズムを崩すことは僕のひとつの仕事ですね。ギャンブルとまではいかないですけど、スティールを狙えるときにはどんどんボールにプレッシャーをかけていきたい。去年はどちらかというとプレッシャーだけでしたが、今季はもっとボールにアタックしながら、そこでスティールを稼ぐ。スティールでチームに貢献できればいいなとは思っています」

 ハードな守備からターンオーバーを誘発できれば、そこからイージーバスケットにつなげることができる。目論みどおりなら、その流れはオフェンスの課題であるフィニッシュにも好影響を及ぼすだろう。

 右足の血栓は本当に痛かったが、自身の課題が明確になっているだけに、まだ巻き返すだけの時間はある。

 確かな能力を持ち、敵地のコートをもファンで埋め尽くすスター性を持ったファンタジスタは、どんなチームにとっても貴重な存在に違いない。Gリーグだけでなく、NBAでの存在感をさらに高めるためにーー。

 当然のことだが、シーズンの残り約2カ月半は極めて重要な時間になる。スティールから相手ゴールに向けて突っ走るシーンを頻繁に生み出すようになれば、河村のNBAでの未来はもっと明るく開けてくるはずである。

後編につづく〉〉〉「ベテラン記者が解説する河村勇輝の現在地とブルズのチーム編成の意図」

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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