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【Bリーグ10年目の開幕】沖縄をもっと元気に!――琉球ゴールデンキングスが"常勝"であり"挑戦者"であり続ける理由 (2ページ目)

  • 長嶺真輝●取材・文 text by Nagamine Maki

【補強に成功も常に「アンダードッグ」の姿勢で】

アンダードッグの姿勢が琉球を常勝チームたらしめている photo by Nagamine Makiアンダードッグの姿勢が琉球を常勝チームたらしめている photo by Nagamine Maki  その戦う精神を浸透させているのが、名将で知られる桶谷大ヘッドコーチ(HC)だ。かつてBリーグの前身のひとつであるbjリーグ時代にも琉球を率い、2度の優勝を達成。2021-22シーズンに再び指揮官として復帰してから毎年チームをファイナルに導き、挑戦者という意味をこめて「アンダードッグ(格下、不利な立場などの意味)」な姿勢を選手に求めてきた。

 ディフェンスで体を張り、ルーズボールに飛び込み、最後まであきらめない。ひたむきに戦うスタイルを象徴する要素は多いが、とりわけ強さの土台を支えているのがリバウンドだ。昨季の1試合平均43.4本はリーグトップ。過去3度にわたりリバウンド王を獲得している身長206cmのジャック・クーリー、201cmのヴィック・ロー、206cmのケヴェ・アルマという外国籍選手3人に、211cmの帰化選手で日本代表のアレックス・カークを加えたビッグマン4人がゴール下を支配し、リーグで強烈な存在感を放つ。

 昨シーズンは最終決戦(CSファイナル)で宇都宮ブレックスに1勝2敗で敗れた。今シーズンはその雪辱を果たすべく、この4人のほかにも生え抜き14シーズン目に入る岸本、昨季リーグ新人王の脇真大、守備職人の小野寺祥太など多くの主力が残留した。

 補強も抜かりない。ファイティングイーグルス名古屋でエースを張っていた日本代表経験のある佐土原遼を獲得。身長192cmでフィジカルが強く、内外から得点できるオールラウンダーだ。琉球が抱えていたウイング陣の「サイズ不足」と「低い3ポイントシュート成功率」というふたつの弱点を克服する存在と言える。25歳と、まだまだ伸び盛り。「優勝リングがほしい」と琉球への移籍を決断した。

 桶谷HCは「彼がいることで、昨シーズンにはなかった選手の組み合わせができると思っています」と言い、戦術の引き出しを増やすキーマンになると見る。盤石な布陣が整い、メディアやファンからは優勝候補の一、二番手に挙げられることが多い。それは同時に、指揮官の危機感を増幅させる要因にもなっている。

 開幕前、最後のプレシーズンゲームとなった9月24日のアルティーリ千葉戦は96対84で勝利したものの、終盤に不用意なターンオーバーが増えて一時は1ケタ点差まで詰め寄られた。桶谷HCは厳しい表情で振り返った。

「最後は『いつでも勝てるだろ』みたいな雰囲気が出ていました。今季のキングスは強いと言われますが、まだ何も結果を残していない。宜央(佐々宜央アソシエイトヘッドコーチ)が選手たちに『自分たちでトーンセットして、自分たちで強さを作っていく必要がある』という話をしていました。そのとおりです。今シーズンもアンダードッグの姿勢で戦いたいです」

 慢心はいらない。あくまでも挑戦者として、リーグの頂点をもう一度つかみにいく。

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