男子バスケ界の次代を担う16歳の怪物・白谷柱誠ジャックへの期待と課題 (2ページ目)
【ホーバスHC、合宿参加者たちは白谷をどう見たのか?】
白谷の強みは、強い体と身体能力だ。とりわけ相手をはねのけるようにリングへドリブルをしながらアタックしていくことと、連続で跳躍しながらのリバウンドに秀でている。
白谷は今春、福大大濠高入学直前ではあったものの、大学の関東リーグ1部校との練習試合に出場して28得点を記録。今月初頭のライバル・福岡第一高が相手のインターハイ福岡県予選優勝決定戦では、自身よりも身長の高い留学生との1対1から中へ切り込み、相手のダブルチームのマークに対して空中で体勢を変えながら柔らかくレイアップシュートを決めたり、自らの外したシュートに即座に反応してオフェンスリバウンドから得点につなげるなど、実力を誇示した(ベンチからの出場ながら26分強コートに立ち、10得点、14リバウンドをマークした)。
男子日本代表のトム・ホーバスHCは話しぶりからして白谷のことを十全に知っているわけではなかったようで、当初は「ケガをしてしまうんじゃないか、ちょっと体が弱くてできていないんじゃないか」ということで16歳をフル代表に準ずるディベロップメントキャンプへ呼ぶことへの危惧を覚えていた様子だった。だが、白谷を知る指導者らからの推薦もあって、ロスターに加えることを決断したという。
元NBA選手であるホーバスHCは合宿を通じての白谷の印象について「まだ16歳だから技術とかはこれからうまくなると思うんですけど、全然、5対5のプレーをする時におかしくない(違和感がない)」と語った。
チームメートたちも、白谷がその若さながら自分たちの中に混じって遜色なくやれていることに瞠目している。
報徳学園高時代に1年生から先発ポイントガードを務め、現在は米大学(NCAA1部)の強豪リーグ・ACC(アトランティックコーストカンファレンス)校のボストンカレッジでプレーするテーブス流河(るか)は、白谷の印象を問われると「いや、もう、すごいです」と語り、言葉を続けた。
「自分が16歳の時とは比べものにならないんじゃないかな。一番年下ですけど、練習を見ていてそうは思わないですし、自分が16歳の時、こういう代表合宿に出たとしたら結構、緊張して固くなっていると思うんですけど、そんな雰囲気がしないので本当、これからが楽しみです」
2023-24シーズンに17歳でシーホース三河に所属し、昨シーズンはNBAグローバルアカデミー(オーストラリア)でプレーをしたニモ正義は「自分があの歳だった時よりも、もっと自信を持っていると思います。僕はもうちょっとシャイだったと思いますが、彼はプレーできる準備ができています。彼はとてもフィジカルにプレーをしますし、手足も長い。体も強くそれを使うことに躊躇がありませんし、恐れてもいません」と白谷を評した。
つづく
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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