和歌山南陵バスケ部の5人が見せた不屈の闘志 「棄権する選択肢もあったんですけど...」 (2ページ目)
ベンチに下がった紺野は、「勝ったら次の試合に出られるから頼む!」とコートで戦う仲間たちを激励した。しかし、ウインターカップは4人対5人で戦えるほど甘くはなかった。残り4秒の段階で、スコアは61対80。絶望的な点差が広がっていた。
【ヘッドコーチは今年度で退任】
それでも、和歌山南陵の選手のなかで、下を向く者はひとりもいなかった。主将の二宮は言う。
「4人になって、『もう無理』と棄権する選択肢もあったんですけど、応援してくださった方々のためにも最後まで戦わないといけないと思いました。みんなで『まだまだいける!』と声をかけ合っていました」
すると、残り4秒となった最終盤に見せ場が訪れる。
酒井が相手のパスをスティールしてシュート、リングを外れたボールに中村がリバウンドしてチップアウト、そのボールを拾った二宮が藤山凌成にパス。試合終了のブザーが鳴り響くなか、藤山が放った3ポイントシュートは高い弧を描いてリングに吸い込まれた。
試合は64対80と完敗だったが、藤山はこの光景が忘れられないという。
「僕としては、最後のプレーで全員がボールに触ることができて、退場した紺野の分も含めて全員の思いが乗ったシュートやったと思います。あれを決められてよかった。負けはしたんですけど、やりきって、いい終わり方ができたなと思います」
試合後、ヘッドコーチの和中は選手たちの健闘を称えた。
「望んだ結果ではなかったですけど、1年間弱音を吐かずによくここまでついてきてくれました。この子らがいなければ、僕の存在も成り立ちません。『1年間楽しかったよ、ありがとう』と伝えたいです」
再建が進む和歌山南陵だが、バスケ部は和中が今年度限りで退任するため、新たな組織づくりが進められることになる。
これから和歌山南陵がどんな学校になっていってほしいか。酒井に尋ねると、晴れやかな笑顔でこんな答えが返ってきた。
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