渡邊雄太が「千葉ジェッツ」「Bリーグ」にもたらすもの 日本代表への好影響も (2ページ目)
【渡邊がもたらす波及効果】
ジェッツ入団の決め手は、熱量だったという(左からジェッツの田村社長、渡邊、池内GM) photo by 編集部
千葉Jはこれまでもリーグ屈指の人気を誇り、リーグや天皇杯の優勝も複数回ある、日本を代表するチームだが、熱量を持って迎え入れた渡邊という大物の加入で、さらに際立った熱を放つ存在になるかもしれない。
渡邊がジェッツのユニフォームを着ての初戦となる9月15日のららアリーナ東京ベイ(対サンロッカーズ渋谷)での試合は、プレシーズンゲームにも関わらずチケットは完売しているそうだ。田村社長によれば、ジェッツのファンクラブ会員数は前年と比べて「かなり増えて」おり、ユニフォームも前年の同時期に比べると「倍近い売上げ」になっているという。ららアリーナは新設で1万人以上収容可能と既存の大半の本拠地のおおよそ倍のキャパシティーを誇る会場ながら、渡邊加入効果でチケットは入手困難化することが予想される。
昨シーズンはフェニックス・サンズに所属し、途中、メンフィス・グリズリーズへトレードされた渡邊の年俸は約235万ドル(現在のレートで約3億4000万円)だったとのことだから、千葉Jは相応の金額を彼に対して投じているはずだが、回収は難しくないのではないだろうか。
そして、渡邊が及ぼす影響は千葉Jにおいてだけにとどまらないだろう。近年では沖縄アリーナ(琉球ゴールデンキングス)、SAGAアリーナ(佐賀バルーナーズ)などより収容数の大きな"箱"が建設されている。長らく千葉Jの顔として君臨してきた富樫勇樹に加えて、渡邊が加入したとなると、そういった千葉Jからすればアウェーの試合においても客席が埋めつくされる可能性は高そうだ。
2016年に誕生したBリーグは、2026年からさらなる事業規模拡大を目的として最上位リーグを「Bプレミア」とするなど新たなフォーマットで次のフェーズへと突入する。見据える先はNBAに次ぐ世界第2位のバスケットボールリーグになることであると、壮大だ。
日本のトップリーグでのプレー経験のない渡邊ではあるものの、自身がアメリカで奮闘する間に、Bリーグというものが発足して人気の面でも競技の面でも従前からは考えられないほどの成長をしてきたことに対して、畏敬の念を示す。自分はNBAでやってきたのだといった、上段からの物言いはしない。
「今回、僕がNBAからBリーグに入ることを、これだけの記者の方たちなどがいろんなところで取り上げていただいている理由のひとつとして、僕が(日本に)いない間もBリーグが盛り上がっていたから。今までBリーグを作り上げてくださっている方々や、そこでずっとプレーをしてBリーグというのもをすばらしいリーグにしてくれた選手の方々に感謝をしたいと思っています」
会見で渡邊はそう語り、言葉を続ける。
「NBAに次ぐリーグを作りたいというのは、本当にすばらしい目標です。やるからには高い目標を持ってやっていくというのは、僕の選手としてのポリシーでもありますし、そういう部分も含めてBリーグを盛り上げていけたらなと思っています」
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