女子バスケ・山本麻衣が繰り返すフレーズ「迷いなく」 163cmの「小さな巨人」がパリ五輪で光り輝く (3ページ目)
心技体が揃った選手といったところか。
「迷いなく」
山本は、そのフレーズを一番多く、繰り返し使っていた。そこが彼女のプレーの肝になっているのだろう。無意識に最善の判断を下せることで、相手の機先を制することができる。
「試合に入る時、自分のリズムでやれば大丈夫、と常に思っています。"迷いなく"というのがいいプレーにつながっていて。それも恩塚さんのバスケを3年やって、理解できていることによって、迷いなくできているんじゃないかなと思います」
集団スポーツであるバスケでは社会性も求められる。その点、彼女は人やプレーを理解することに優れているのだろう。アップ中から、周りとふざけ合いながらも、常に意志を通わせていた。
「(馬瓜)ステファニーはドライブに行った時に、いてくれるやりやすさはありますね。今日もベンチで、『目、合ってたよね? パス、くるのは分かっていたけど、ドキドキしちゃった!』とか(言われました)。中学の時から知っているので、阿吽の呼吸はあるかもしれません」
山本は言う。そんな関係性を作れるのも、彼女の魅力なのだろう。最大限に鍛えた肉体で技を繰り出し、味方を輝かせ、自らも光り輝く。すべてを出しきる舞台がパリ五輪だ。
「東京オリンピックでは個人的に悔しい思いをしました。今回のパリは、チームとして"金メダルを獲る"でやっているので。それに向けて信頼されていると思うので、その意識を持って戦ってきます!」
彼女は高らかに言っている。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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