河村勇輝が観客の熱気を味方にする理由 苦しい時に一番輝くチームプレーヤー (2ページ目)
【シュートは1試合10本以下でも...】
第3クオーターも横浜は50対52と逆転されたが、直後に河村がシュートを決めて同点に。その後にファウルを受け、再びフリースローを2本決め、逆転に成功。直後にはソットの得点を連続でアシストし、リードを広げた。残り8秒、再び同点に追いつかれた局面で、森井健太の3Pをアシストすると、場内のボルテージは一気に高まった。
河村のプレーは否応なく会場の熱気を味方にし、火を巻き上げるような力がある。
「相手がやられたくない、嫌がるプレーを選択し続ける必要がありました」
河村はそう説明している。
「ドライブ(ドリブルでディフェンスを抜いてゴールに向かうプレー)であったり、ドライブからのキックアウト(ゴールにアタック後にインサイドからアウトサイドへ出すパス)であったり、カイ選手へのロブパスやディッシュパス(近距離パスのひとつで、お皿の料理を給仕するように手のひらを上に向けて)とか。三遠さんのディフェンスがフェイントアタックにずれがあったので、そこは狙っていました。(第3クオーター最後のプレーは)カイ選手と決め打ちで、『ドライブにいって上へ投げるから、アリウープしてくれ』という感じで(笑)。相手が自分に反応して来ると思ったので、(カイ・ソットを)見ずにリンクの近くにボールを投げたら......」
そして第4クオーターも、河村は神がかっていた。再び逆転されたところでコートに入ると、シュート、アシストで神出鬼没。追いすがってくるところ、この日、11本目のアシストで同点にした。そして残り34秒、3Pを決めて81対76と勝利を引き寄せたのだ。
「最後は時間もなく、1回かませるとタフなシュートで終わりそうだったので、自分で1対1のずれを作り、ワイドオープンでシュートを打てるって。決めきることができてよかったです」
河村はそう証言したが、チームプレーヤーとして驕りがないところも、彼の本質かもしれない。試合を通じ、苦しい時に一番輝いていた。
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