渡邊雄太「いろいろ弱音を吐いた」。波乱万丈の4シーズン目で知ったNBAの厳しさ

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 去年夏、NBAでの4シーズン目を前に、渡邊雄太(トロント・ラプターズ)はこんなことを言っていた。

「客観的に見たら、けっこうすごいことをやっているというか......。NBAで4年間生き残れる選手ってなかなかいないですし、立場的には一切ラクができない状態のなかで、こうやって4年目を迎えられるっていうのは今まで頑張ってきた証拠かなと思うんで。(NBA)4年目は大変な1年にはなると思いますけれど、自信をもって、楽しんでやっていけたらなと思っています」

 自分のことを第3者目線で見ることがあるという渡邊だが、これもまさにそんなコメントだった。渡邊にしては珍しくNBAで4シーズン目を迎えることを自画自賛し、と同時に「大変な1年になる」と気を引き締めた。

渡邊雄太は4シーズン目で初めてプレーオフも経験した渡邊雄太は4シーズン目で初めてプレーオフも経験したこの記事に関連する写真を見る 2018年にNBA入りしてからの渡邊は、まずはNBAチームと傘下のGリーグチームを行き来するツーウェイ契約でロスターに残れるように、そしてその次はNBA本契約をもらえるように、目の前の目標に向かって必死に努力し、それをひとつずつ達成して前進してきた。

 そんななかで迎えた4シーズン目。初めてシーズンを通してNBA本契約選手として過ごした2021−22シーズンは、渡邊が思っていた以上に波乱万丈となった。そして、それだけいろいろとあったからこそ、学びも多かった。

 シーズン前半は、すべてが上向きだった。開幕前に故障して少し遅れを取ったものの、11月下旬に復帰すると、1月頭までの15試合中14試合でローテーション入りして、毎試合10分以上出場した。

 そのうち2試合では、ダブルダブル(得点とリバウンドでふたケタ)を記録。この14試合ではチームも8勝6敗と勝ち越した。渡邊にとって、世界最高のNBAというリーグに自分の居場所があると自信を持つことができた1カ月余だった。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る