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トム・ホーバスHCと車いすバスケ鳥海連志が対談。銀メダル獲得の共通点は「チャレンジ」 (2ページ目)

  • 三上太●取材・文 text by Mikami Futoshi
  • photo by Murakami Shogo

東京五輪では、バスケ女子日本代表を銀メダルへと導いた photo by Yohei Osada/AFLO SPORT東京五輪では、バスケ女子日本代表を銀メダルへと導いた photo by Yohei Osada/AFLO SPORT――ホーバスHCはオリンピック後、アメリカに帰国されていましたが、パラリンピックは見られましたか?

ホーバス アメリカにいる時はライブで見るチャンスがあまりなかったですね。ただ私はオリンピックまでの期間、味の素ナショナルトレーニングセンターにいることが多く、そこでは常に他のスポーツを見たいと考えていました。だから柔道の練習も見学させてもらいましたし、バレーボールのコーチともよく話をしました。彼らの考え方や、彼らが選手にどのように話すのかを勉強することがすごく好きなんです。

 2年前には車いすバスケの練習も見学させてもらいました。我々のバスケとどのくらい似ているのか、それとも異なっているのか、興味があったからです。そこで一番驚いたのはシュートが入ると、みんながフルコートプレスディフェンスのように、相手の車いすに自分の車いすをぶつけて相手を動かせないようにしていたことです。実際にそれに似た動きを私たちのバスケで取り入れたこともあるんですよ。あれは勉強になりました。当時、鳥海選手はまだスターティングメンバーではなかったですよね? 

鳥海 はい、あのころはまだスターティングメンバーじゃないです。

ホーバス でもすごくエネルギッシュで、スピードが速いと思っていました。東京パラリンピックでも、鳥海選手がコートに出ている時は試合展開がまったく違いました。本当にすばらしかったです。

――オンタイムかどうかは別として、試合は見られたんですね?

ホーバス もちろんです。彼らは本当にすごかった。香西(宏昭)選手は特別なシューターだと感じました。女子日本代表の林咲希選手のようなイメージかな。それに対して鳥海選手はポイントガードじゃないけど、すべてのことをやっていました。女子日本代表でいえば赤穂ひまわり選手にも見えるし、町田瑠唯選手のようにも見えるところがあって、本当にすごい選手だなと。

――ここでひとつ聞きたかったのは「チャレンジ」についてです。鳥海選手はリオパラリンピックの時は、スピードとディフェンスが中心でしたが、その直後からオールラウンダーになるために座面、つまり車いすの座るところを20 センチも上げたそうです。座面をそれほど上げると操作が大変らしいんです。

ホーバス 大変なんですか? 聞いてみたいですね。

鳥海 わかりやすく言うと、自動車って車高が高い車ほどフラれやすいですよね。だからスポーツカーは重心を低く設定してあります。車いすも同じ感覚で、座面を1センチ上げるだけで重心がかなり変わるんです。

ホーバス ああ、なるほど。だから鳥海選手はパラリンピックで何回も転んでいたんですね(笑)。

鳥海 はい。だから1カ月に1センチずつぐらい上げていきました 。

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