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「こんな終わり方はダメだ」。
折茂武彦は引退撤回を最後まで悩んだ (3ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Kyodo News

 折茂の現役最終年にかける想いは強かった。

 オフの間にチームの補強にも成功し、シーズン開幕直前の10月1日、折茂は会見を開き、2019-20シーズンを最後に現役引退することを発表している。それには、こんな理由があった。

「シーズンが始まってから"まだできるじゃん"と一瞬でも思ったら辞められなくなる。何より応援してくれる方々に"ラストシーズン"という気持ちで一緒に戦ってもらいたかった」

 レバンガ北海道は、開幕4連勝を含む最初の10試合を6勝4敗と上々の滑り出しを見せる。しかし、年が明け2020年に突入すると、少しずつチームの歯車が噛み合わなくなっていくのを折茂は感じていた。

「一人ひとりが別の方向を向いてしまった」

 チームの歯車を狂わせた要因のひとつがコロナ禍だった。

「北海道は、かなり早い時期からピリピリした緊張感に包まれていました。特に外国籍選手は、タイミング次第では家族を残す母国に帰国できなくなるのではないかと練習どころではなかった。それが、チームが全員でいい方向を向けなかった理由の一つです。もちろん全国のどのチームでも同じことが言えますが、北海道は影響を受けるのがより早かった」

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