Bリーグのスターに洗礼。
馬場&比江島さえもNBAへの道は険しい
夢と現実が交錯する――。ラスベガスへと飛び、NBAサマーリーグのコートに立った4人の日本人選手の姿を見て、そんなことを思った。
2019年6月、NBAドラフトで日本人初の1巡目(全体9番目)指名を受けたワシントン・ウィザーズの八村塁。そして昨季、メンフィス・グリズリーズとの2ウェイ契約で日本人ふたり目のNBAデビューを飾った渡邊雄太。彼らふたりは、サマーリーグのコートでも堂々たるプレーを見せた。
憧れていたNBAの世界に挑戦した馬場雄大 ただその一方で、サマーリーグに参戦したBリーグのスター選手、馬場雄大(アルバルク東京)と比江島慎(宇都宮ブレックス)が苦闘する様子も、外野にいるこちらに伝わってきた。
ダラス・マーベリックスでプレーした馬場は、予想以上の出来だったと言える。初戦となった7月5日のブルックリン・ネッツ戦では19分で5得点、続く6日のヒューストン・ロケッツ戦では17分で8得点。その活躍は日本メディアのみならず、地元ダラスのメディアや関係者らの目も引いた。
「マーベリックスは馬場を(プレシーズンキャンプに)招集すべきだ」
日本でも指導経験のあるアメリカ人は、そう口にした。他にも、「少なくともGリーグ(※)には行けるだろう」といった声も耳にした。
※Gリーグ=NBAゲータレードリーグの略称。将来のNBA選手を育成する目的で発足。
もっとも、それ以降は馬場に「現実」が訪れる。3戦目のサクラメント・キングス戦では出場時間7分と一気に減り、得点も3点どまり。4戦目のクロアチア代表戦では6分の出場で無得点に終わった。
NBAではスペースを広く使うプレーが主流で、日本と比べて選手は1対1で攻めることが多い。そのため、わずかな出場時間では馬場にボールはなかなか回ってこない。
また、ディフェンスでも苦しむシーンがあった。キングス戦で馬場は、大きくて身体能力に優れたミルトン・ドイルという選手とマッチアップ。日本で対戦しないような相手に押し込まれ、得点を許すことがあった。
「こちらが気を抜いたら、相手はみんな(ドライブに)行く覚悟でいます。日本だとチームバスケットをメインにパスを回したりしますが、こっちは相手を抜く勢いが強い。『個人の戦い』が第一にある」(馬場)
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