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同僚から総スカンを食らって放出された
NBAの悪童が、ついに覚醒! (2ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 2017年3月、プロ2年目のラッセルはクリーブランド・キャバリアーズ戦で40得点を記録。それまでレギュラーシーズンで40得点以上を記録したレイカーズの最年少記録は、コービーの持つ22歳105日だった。ラッセルは21歳24日でこの記録を塗り替え、才能の一端を垣間見せた。

 ところが、ラッセルはチーム内で徐々に孤立していくことになる。練習態度の悪さやセットプレーを覚えない姿勢などが目立ちはじめ、コーチ陣から再三指摘されるようになったからだ。

 そしてついに、ラッセルがチームから完全に孤立する事件が起きる。当時のチームメイトだったニック・ヤング(SG)とホテルで談笑しているシーンをラッセルは隠し撮りし、それを知らずに浮気したことを話すヤングの動画がネットに流出したのだ。どういう経緯でその動画が流れたのかは不明だが、ラッセルは裏切り者と呼ばれ、チームから完全に浮いた存在になってしまう。

 2年目のオフ、球団社長であるマジック・ジョンソンは決断する。

「ラッセルはオールスターになれる素質を持っている。だが、我々が必要としていたのはリーダー。チームメイトから『一緒にプレーしたい』と思わせる人材だ」

 結果、ラッセルはブルックリン・ネッツへ放出されることになった。

 移籍先のネッツは当時、チーム再建の真っ只中だった。しかも、ラッセルは移籍して初のチームミーティングで、ケニー・アトキンソンHCから「お前を(将来の)フランチャイズプレーヤー(※)として獲得したわけではない。もちろん、そうなる可能性はある。それは、これからのお前次第だ」と宣告される。レイカーズ時代のラッセルなら、ここでクサっていてもおかしくなかった。

※フランチャイズプレーヤー=長期にわたって同一チームの第一線で活動し続ける選手。

 しかし、自分の置かれた状況を理解したラッセルは、この日から努力を重ね、少しずつ、そして確実に成長していった。

 もちろん、それはすぐに成績に結びついたわけではない。移籍1年目となった2017-2018シーズンはひざの手術を受けたこともあり、不完全燃焼に終わった。

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