2019.02.28

NBAプレーオフのカギを握る男。
ニコラ・ヨキッチの万能ぶりが話題

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Image

 リーグ屈指の万能派ビッグマン――。セルビア出身のテクニシャン、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)の快進撃が続いている。

 NBAで4年目の今季、ヨキッチはここまで平均20.7得点、10.7リバウンド、7.7アシストというオールラウンドな好成績をマーク。今季だけで12度のトリプルダブルを達成し、オールスターにも初出場を果たした。「Jokic(ヨキッチ)」というスペルから”ザ・ジョーカー”とも呼ばれる24歳は、すでにNBAのトッププレーヤーに上り詰めたと言っていい。

今季のMVP候補に挙げられているヨキッチ「ストップがかかるまで前に進み続ける。いいプレーができているし、多くのゲームに勝っている。今のようなプレーが継続できるように願っているよ」

 オールスター中にヨキッチがそう話したとおり、前半戦のナゲッツは39勝18敗(勝率.684)と好調だった。昨季まで2連覇を達成し、今季もウェスタン・カンファレンス首位を走るゴールデンステート・ウォリアーズまで、現時点(2月27日時点)でわずか1ゲーム差。戦前の前評判が飛び抜けて高いとは言えなかったナゲッツが、今の時期にこの位置にいられるのはやはりヨキッチの働きによるところが大きい。

 昨夏、ナゲッツはヨキッチと5年1億4800万ドル(約161億3200万円)の大型契約を結んだ。チーム側の信頼を意気に感じてか、ヨキッチは課題とされてきたディフェンスも今季に大きく向上させている。ここまでの活躍を見る限り、この選手に未来を託したナゲッツの選択は正しかったのだろう。

「ウィルト・チェンバレン以来、もっともパスの上手なセンター」

 そんな形容もされるとおり、ヨキッチの数ある長所のなかでも目を引くのがパサーとしての能力だ。今季オールスターまでの時点で、10アシスト以上を記録したゲームがキャリア通算で39もあり、これはセンターとして歴史的な英雄であるチェンバレンの79試合に次ぐNBA史上2位の数字。ずんぐりとした体型からキラーパスをさばき、多くのイージーバスケット(オフェンス側が簡単にシュートを決めること)を生み出してきた。

「パスは2人を幸せにする。得点を挙げてもひとりだけしか幸せにならない」

 入団2年目のヨキッチが残したコメントに象徴されるように、本人も自ら得点を挙げるよりアシストに喜びを感じているようだ。