バラは再び咲く。NBA元MVP・ローズがスタイルチェンジでキャリアハイ (2ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

「本当にバスケットボールが好きなんだ。だから、僕は決してタオルを投げなかった。それに、今の僕には息子と娘がいる。いつか、ふたりにこう言えるようになりたいんだ。『言い訳はするな。不平不満を言わず対処しろ。自分がやりたいことを、やるべきことをやるんだ』と」

 ローズの50得点に、敵味方なく、多くのNBA選手がSNSなどを通じて賛辞を送っている。そのひとり、今シーズンかぎりで引退を表明しているドウェイン・ウェイド(マイアミ・ヒート/SG)の言葉を紹介したい。

「今夜、決してあきらめないこと、そして信じてくれる誰かがいるとき、奇跡は起こるとローズが教えてくれた。自分が50得点したようにうれしい。おめでとう」

 もちろん、この夜の50得点を根拠に、"ローズ完全復活"ということにはならない。全盛期の、ディフェンスを1歩目で抜き去る圧倒的なスピードを持ったローズも、空中でディフェンスと激突してもシュートをねじ込むパワーを誇ったローズも、もはやいない。

 しかし、ちょうど10月4日で30歳となったローズは、丁寧なフェイントでマークマンをずらしてスペースを作り、極力タフショットを避けるクレバーなシュートセレクションで、まさに自身が歩んできた道のりのように、地道にコツコツと4本の3Pを含む19本のシュートと8本のフリースローを沈め、20代の全盛期でも達成できなかったキャリアハイとなる50得点を積み上げた。

 あの日のローズがいないことを、本人が誰よりも知っている。

「今の目標はシックスマン賞を取ること。そして、若手が成長するのを助け、チームをサポートしていきたい」

 そしてもうひとり、今年スタイルチェンジを果たし、キャリアハイをマークした選手がいる。2011年のダンクコンテストでクルマを跳び越えるプレーで優勝するなど、パワフルなダンクが代名詞だったブレイク・グリフィン(デトロイト・ピストンズ/PF)だ。グリフィンは10月23日のフィラデルフィア・76ers戦で50得点を記録した。

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