帰化した210cmの巨人ファジーカスは日本バスケの救世主となるか (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

 一方のチャイニーズ・タイペイvs.フィリピン戦。3位までが2次予選に進出できるため、この試合の勝敗にかかわらずフィリピンの勝ち抜けはすでに決まっている。フィリピンが主力温存や若手選手を起用する可能性も高いだろう。

 つまり日本が置かれているのは、まさに神頼み的状況だ。日本がオーストラリアに敗れ、チャイニーズ・タイペイがフィリピンに勝った場合、その時点で日本の2次予選進出は消える。さらにそうなれば、「来年のワールドカップ本戦でベスト16に入ることが、オリンピック開催地枠を得るための目安」とFIBA(国際バスケットボール連盟)が言っているため、日本の東京オリンピック出場の可能性もほぼなくなるのだ。

 日本は4戦全敗とはいえ、アウェーのオーストラリア戦を24点差で落とした以外は、フィリピンには6点差と5点差、チャイニーズ・タイペイには1点差の惜敗。せめて、ひとつでも星が拾えていれば......と悔やまれてならない。

 そんな絶望的な状況に差し込むのが、ファジーカスという光だ。救世主になりうる男に悲壮感はない。

「残り2試合、そしてオリンピックまでの道のりには、大きな壁が立ちはだかっている。しかし、その壁にチャレンジすることは、やりがいがある。どんな試合、どんなプレーができるか、自分でも楽しみ」

 ファジーカスの加入は、高さ、得点力という面で、間違いなく日本代表のレベルを格段に向上させる。

「もちろん、私の加入でチームが世界に近づいたと信じたい。ただ、一足飛びに世界のレベルに到達することはできない。誰が加わろうと、いきなり世界のトップ10に入るような躍進は難しい。しかし、私と(八村)塁、そして今後合流する渡邊(雄太)、NBAや世界のレベルを知る3人がチームに加わることで、間違いなく世界との距離は縮まる」

 八村塁、渡邊雄太――日本に差し込む光は、ファジーカスだけではない。

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