2018.06.20

延岡学園バスケ暴行事件。
単純ではないアフリカ留学生の「光と陰」

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

 6月17日に行なわれた全九州高校体育大会のバスケットボール男子準決勝、延岡学園vs.福岡大大濠(おおほり)。今年2月にコンゴ民主共和国から来日した延岡学園の15歳の留学生が、敗色濃厚な試合の残り40秒にファウルを吹かれると、副審に近づき顔面を殴打。副審は後頭部から倒れ、会場は騒然となった――。

岡山学芸館の留学生だったモーリス・ンドゥール(左)はその後NBAの世界へ 当然、この留学生の暴力行為が許されないことであることを前提に話を進めたい。

 この試合、不穏な空気は、その前からあった。

 問題の選手は、技術的にもまだ未熟な控え選手で、普段なら大きなリードを奪った状況、もしくは敗戦が濃厚な状況でしかコートに立つことはなかった。しかしこの試合、スターターの先輩留学生がファウルトラブルに陥る。先輩留学生は吹かれた笛に不服で、リングの支柱部分を蹴るなどの行為もしていた。交代で入った問題の留学生がコートに立った時点で、すでにエキサイトしていたであろうことが想像できる。

 映像を見た方も多いだろう。問題の留学生がスクリーンプレーの際に、ムービングピックで笛を吹かれたことを端に暴力行為に発展した。

 このファウルを吹かれたプレーだけを見れば、スクリーンの際に留学生はわずかに動いているようにも見えるが、相手ディフェンス側が身体をぶつけにいっているようにも見え、微妙な判定に思える。しかし、このプレーの直前に、この留学生は接触を伴う危険なファウルで笛を吹かれている。つまり、副審がこれ以上試合が荒れないようにと吹いたであろう笛の直後に事件は起こった。

 衝撃的な映像、事件であったことは間違いなく、学生スポーツのあり方が問題視されているタイミングでもある。ただ、これをもって留学生の存在そのものを否定するような意見も耳にする。当たり前すぎることだが、問題のある留学生もいれば、真面目にバスケだけでなく、学校生活や異国での生活に馴染もうと日々がんばっている留学生もいる。少しでも、留学生選手の置かれた状況と、その歴史が理解されればと願ってやまない。