「ギリシアの怪物」アデトクンボはNBAプレーオフでも大暴れするか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

「オールスターに選ばれると気分がいいよ。とにかく楽しみたい。(選出されるということは)努力が報われたということだからね」

 晴れやかな笑顔でそう述べいてたアデトクンボだが、今回のオールスターでは大爆発するには至らなかった。

 27分間の出場で16得点どまり。ケンバ・ウォーカー(シャーロット・ホーネッツ)のショットを豪快にブロックした場面では観客を大いに湧かせたが、ハイライトはそれくらいだった。ただ......たとえそうだとしても、今季後半戦、その後に続くプレーオフで、アデトクンボがリーグ屈指の注目選手である事実に変わりはない。

 アデトクンボのポテンシャルは誰もが認めているが、彼はまだプレーオフでのシリーズ勝利を手にしたことがない。昨シーズンは、プレーオフ1stラウンドで上位シードのトロント・ラプターズと対戦し、2勝1敗とリードしたところから3連敗を喫して敗退。アデトクンボは6戦で平均24.8得点、9.5リバウンドという好成績をマークしたが、バックスを次のステージに導くまでには至らなかった。

 NBAで真のスーパースターとして認められるには、プレーオフでの活躍と勝利が絶対不可欠だ。アデトクンボにとってもそれが次のステップになる。バックスはエリック・ブレッドソー、クリス・ミドルトン、ジャバリ・パーカーといった多くのタレントを擁しているが、最終的にはすべてアデトクンボ次第。若きエースが大舞台でどんなプレーができるかが、チームの浮沈を決定づけると言っても過言ではない。

「とてつもないタレントで、プレーオフではさらに一段上のレベルに上げてくるんじゃないかと期待している。そうなれば、ヤニスは真の意味でリーグのトップ3プレーヤーになる。プレーオフで自分がすべてを切り開かなければいけないと気づいたとき、彼は完全に解き放たれ、これまでにないようなスーパー・パフォーマンスを見せてくれるかもしれない」

 筆者が『ダンクシュート』誌の企画で展開した現地記者座談会の中で、アメリカのバスケットボール専門誌『SLAMマガジン』のライン・ネルソン記者はそう述べていた。その期待通り、2018年のプレーオフでアデトクンボは完全開花するのだろうか。

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