主力が大ケガでも16連勝。セルティックス「41歳コーチ」は何者か

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 ボストン・セルティックスのヘッドコーチ、ブラッド・スティーブンスのお気に入りの気分転換は、1980年代の人気アーケードゲーム『ミズ・パックマン』なのだという。それも、スマートフォンやタブレットなどでできるダウンロード版ではなく、昔ながらの、かつてアメリカのピザ屋に置かれていたようなアーケードゲームを自宅の地下室に持っている。そして試合当日、対戦相手のプレー映像を見る合間にその前に座り、少しの間だけ、パックマンが点を食べていく単純なゲームに没頭するという。

 好調セルティックスを率いる41歳のブラッド・スティーブンスHC 好調セルティックスを率いる41歳のブラッド・スティーブンスHC 今年8月、故郷インディアナ州のボーイズ&ガールズクラブ(人材育成を目的とする非営利団体)での集まりで、その話をしたスティーブンスは、『ヤフー』のクリス・マニックス記者のポッドキャストでも、その習慣についてさらに詳しく語っている。

「私にも数分間、気分転換が必要なときがある。昔のピザ・パーラーにあったゲーム機械を地下室に持っていて──若い視聴者はどういうものなのか想像もできないかもしれないけれど──その前に座ってゲームをして、数分間だけ気分転換してから、またコンピューターに戻って(試合の)映像を見るんだ。あれが、私自身にとっての"マインドフルネス(心が満たされること)"なのかもしれない」

 同じ部屋には子どもたちが所有するVR(バーチャルリアリティ)など最新テクノロジーの機器もあるらしいが、そういったものには見向きもせずにアーケードゲームに熱中する41歳のコーチというのが、想像するだけで、なんとも微笑ましい。

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