【NBA】南スーダン生まれのルオル・デンが語る「アフリカ愛」 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 ボルの意図どおり、兄からバスケットボールを教わったデンは、移住先のイギリスで才能を発揮するようになり、アメリカの高校、そしてデューク大を経てNBA入りするまでになった。兄弟や友人たちのなかにも、ヨーロッパでプロとしてプレーするまでに成長した選手が何人もいるという。

「マヌートとともに過ごした1ヶ月が、多くの人の人生に影響を与えた。本当にすごいことだ」

 ひとりの人間が、多くの人たちに前向きな影響を与えることができることを知ったデンは、彼自身もアフリカの人たち、特に子どもたちを助けるための努力を続けている。当時のボルと同じように、NBA選手としての立場を生かし、母国だけでなく、アフリカ大陸全体のレベル向上を考え、手助けしているのだ。そのなかでもアフリカ・ゲームは、大事な一歩だった。

「NBAはアフリカにおいて一歩を踏み出してくれた。大きな一歩、前進だ。(アフリカにおける)バスケットボールはこの先、さらに大きくなっていくだろう」

 特に、試合を観に来ていた子どもたちがバスケットボールを楽しみ、夢中になり、選手たちを間近に見たことを喜んでいる姿は、デンにとって一番うれしいことだった。

「特に良かったのは、子どもたちが楽しんでいたことだ。何をするにも、子どもたちは一番大事なんだ。SOSビレッジ(孤児が暮らせるような施設)にも行く機会があったけれど、子どもたちはみんな、僕らを見て喜んでくれた。選手たちはみんな、子どもたちから元気をもらったんだ。僕も毎年、アフリカでは子どもたちから元気をもらっている。モチベーションをもらっている」

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