竹内譲次「子供たちのためにもトップリーグはひとつ」

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

日本バスケ界に一言(4) 日立サンロッカーズ・竹内譲次編

 今、日本のバスケットボール界が揺れている。国際バスケットボール連盟(FIBA)から突き付けられた「トップリーグ統一」「男子代表の強化」「日本バスケットボール協会(JBA)のガバナンス(統治)」の3つの国内改革について10月末までの期限内に進展が見られなかったため、JBAの資格停止処分、すなわち国際大会出場禁止の制裁が免れない状況になっている。
 しかし、世間で騒がれている「統一リーグ問題」だけ解決すればいいわけではない。FIBAは最新の公式文書において、「育成世代の強化」についても改善を求めることを強調している。

 今一度、問題点を整理する。FIBAはトップリーグ分裂問題や、育成世代を含む代表の強化において改善を行なってこなかった「JBAの統括能力の欠如」を一番に指摘しているのだ。そのため、たとえ統一リーグ問題が解決したとしても、課された宿題を実行していかないかぎり、警告を鳴らし続けるだろう。FIBAのパトリック・バウマン事務総長は日本に向けて「ONE JAPANESE BASKETBALL」というキーワードを伝えている。最終的にはオリンピック開催を迎える日本がひとつになり、バスケットボールを発展させていくことこそ、FIBAが求めていることだということを忘れてはならない。

 選手の声を聞く連載の最後は、日本代表の主軸である竹内譲次選手(日立サンロッカーズ)。この秋に開催されたアジア大会において20年ぶりの銅メダル獲得に貢献した。代表の現場で戦う竹内選手に、統一リーグ問題の他に、代表の現状と課題を聞いた。危機に直面している今だからこそ、声を上げて議論ができる一歩を踏み出したい。

――今までの日本代表は低迷し続けてきました。今回のアジア大会では何が改善されたから3位になれたと思いますか。

竹内 ヘッドコーチが変わったからといって、これまでダメだった日本がいきなりアジアのトップになれるわけではないじゃないですか。今回は何が良かったのかなと思うと、長谷川さん(ヘッドコーチ)のもとで、「チームに貢献したい」という気持ちをみんなが出せたことだと思います。戦術的には、アジアカップ(7月)、ジョーンズカップ(8月)を通してできなかったインサイドのスペースを生かす展開が9月のオーストラリア遠征ぐらいからできるようになってきて、そこに物おじしない辻(直人/東芝)や金丸(晃輔/アイシン)のシューターや、比江島(慎/アイシン)のような運動能力があるガードが出てきて、相乗効果が高まりました。メダルを獲れたこともうれしいですけど、若手が出てきて今後に明るい材料を残せたことは良かったと思います。

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