2014.11.11

【NBA】今季必見!全米1位指名の父を持つ2世ガード選手

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by AFLO

 10月末、ゴールデンステート・ウォリアーズのボブ・マイヤーズGMは球団オフィスで代理人のビル・ダフィー相手に、プロ4年目のガード選手――クレイ・トンプソンの契約延長条件を交渉していた。交渉の合間に、マイヤーズGMがふとオフィスの窓から練習コートを見下ろすと、そこにはひとりでシュートを打っている選手がいた。そう、トンプソンだ。

ステフィン・カリー(左)とのコンビでワールドカップ優勝に貢献したクレイ・トンプソン(右) チーム練習は何時間も前に終わっており、他の選手たちはすでに帰途についていたが、トンプソンは個人練習に余念がなかった。彼の練習熱心さはチーム内でも有名。その光景は決して珍しいものではない。だが、トンプソンがどうやって成長してきたかを象徴している場面だ。

 それから1週間もしないうちに、ウォリアーズは4シーズン計7000万ドル(約80億2200万円)の条件で、トンプソンとの契約を延長したと発表した。発表会見でマイヤーズGMは、先のエピソードを披露し、「クレイはこの契約に十分値する選手だ」と賞賛。「彼はシューティングガードというポジションで、間違いなくトッププレイヤーのひとり。彼と契約延長できて、とてもうれしい」と喜んだ。

 この夏、アメリカ代表としてFIBAワールドカップで活躍したトンプソンは、シュート力だけでなく、ディフェンス面でも優れ、「成長著しい若手プレイヤー」として関係者から注目を集めている逸材だ。昨シーズン、オールスターに選ばれたチームメイトのステフィン・カリーとともに、今やウォリアーズのガードコンビはNBAでも指折りと言われている。ふたりとも、外からのシュート力がずば抜けており、昨シーズンの3ポイントシュート成功数は、カリーがリーグ1位(261本)で、トンプソンが2位(223本)。また、3ポイントシュート成功率もふたり揃って4割を超えている。昨シーズン、ウォリアーズをプレイオフに導いた前ヘッドコーチのマーク・ジャクソンは、「NBA史上最高のシュート力を持つガードコンビ」と評した。

 ジャクソンのその言葉を聞いて、クレイ・トンプソンの父――マイカル・トンプソンは、「それを公(おおやけ)の場で言ってしまうのか」と驚いたという。もっとも、驚いたのは公に言い切ったことであり、評価の内容については完全に一致していた。何しろ父親は、3年前に同じことを息子に言っていたからだ。

「クレイがウォリアーズにドラフトされたとき、『お前とステフ(カリー)は歴史上で最高のシュート力を持つガードコンビになる』と言った。もちろん私には、そのことを公の場で言う勇気はなかったけれどね」と、父は当時を振り返る。