【男子バスケ】W杯で「勝利の方程式」を学んだK・アービング (2ページ目)
そして2014年――。NBAに入って3年が経ち、新人王を獲得し(2011-12シーズン)、今年2月のオールスターでMVPに選ばれたアービングは、2014年ワールドカップに出場するアメリカ代表候補入りを果たした。すると、7月の代表キャンプを前に、シャシェフスキーが何度もアービングに電話してきたという。
「コーチが電話してきて、そのたびに、『身体はできているか?』と聞いてくるんだ。少しプレッシャーだったよ」と、アービングは振り返る。だが、そんなプレッシャーが効いたのか、キャンプ初日から万全のコンディショニングでキャンプをスタートすることができた。
もっとも、7月末にキャンプが始まった時、アービングの代表ロスター入りは決して保証されたものではなかった。何しろ、彼がプレイするポイントガードは、今回のアメリカ代表候補の中で最も選手層の厚いポジション。2010-11シーズンMVPのデリック・ローズ(シカゴ・ブルズ)を筆頭に、リーグ屈指の一流シューターであるステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)、さらにはアービングの翌年に新人王となったダミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)や、2010年ドラフト全体1位指名のジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)もいる。
それでも、ラスベガス、シカゴ、ニューヨークとキャンプを重ねるにつれて、ローズやカリーとともにロスター候補として浮上するようになってきた。そして、最終的にアメリカ代表のスターティング・ポイントガードに選ばれたのは、アービングだった。
大会前、スターターに抜擢されたことについて聞かれるたび、アービングはこう答えている。
「コーチがチームのために必要だと思うことは、何でもやるつもりだ」
「チームが勝つためなら、どんなことでもやる」
スターターに選ばれた彼は、常にチーム第一の姿勢を強調した。平均年齢24歳と若い今回のアメリカ代表の中でも、アービングは下から3番目に若い22歳。それでも、NBA3シーズンの経験によって、チームを率いるために必要なリーダーシップは身に付けつつあった。そして、ワールドカップが始まると、アービングのリーダーシップはさらに強さを増していった。
「全員で戦う心構えができた状態をキープできるよう、チームメイトたちが必要なことを何でもするようにしている。それは、たとえばアドバイスだったり、励ましだったり、リバウンドやスティールを取ろうとするプレイだったり......。すべてを請け負う気持ちでワールドカップを戦っているんだ」
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