【男子バスケ】富樫勇樹、NBAと日本代表に挑んだ夏 (3ページ目)

  • 小永吉陽子●文・写真 text &photo by Konagayoshi Yoko

―― サマーリーグに出るまでには、どのようなワークアウトを行なって準備したのですか?

 ほぼ毎日、パーカーコーチと一緒にワークアウトをしました。彼は、サマーリーグでNBAのコーチが何を見るかということを知っているんですね。オフェンスは自分が持っているスキルをどう出せるかと言われたんですけど、ディフェンスはやり方しだいで短期間でも変われると言われました。

 特に自分は身長が低いのでディフェンスではミスマッチになるので、その部分でやれることを練習から見せることが大切だと言われました。ポストアップされた時の守り方やスクリーンの位置によっての守り方だったり、いろんなシチュエーションでのディフェンス練習ができたのは良かったと思います。あとは、NBAでもDリーグ()でもオフェンスではピック&ロール()がすごく多いので、2時間のワークアウトの中で半分はピック&ロールの練習をしていました。
※Dリーグ = NBAデベロップメントリーグ、NBAの育成組織のリーグ
※ピック&ロール = 2対2の攻防でスクリーンを使ったコンビプレイ

―― サマーリーグではメンバーとすぐに呼吸を合わせて試合をしなければなりません。大変だったところは?

 日本の選手以上に、全選手がプライドを持っているところですね。サマーリーグにはNBAにいた選手ももちろんいるし、ドラフトに引っかかった選手もいるので、みんな意識が高かった。そんなところに入って、最初は自分からは言いたいことを伝えることができなかったんですけど、コートの外で話して仲良くなってからは、コート内でも遠慮せずに言えるようになりました。

―― 即席のチームでもパフォーマンスを出すという点において、高校時代にアメリカでプレイしたことが役立っていますか?

 そうですね。こういうトライアウトって、最初の練習がいちばん大事だと思うんです。そこで周りの選手に「この選手はうまい」と思われないとパスはもらえない。日本人はチームプレイを大切にするのはいい部分なんですけれど、トライアウトではパスばっかりしていても評価してもらえないので。もちろん、シュートだけというのはよくないですけど。見せるところでは自分を見せなければならないとパーカーコーチからは言われていたし、高校時代も練習で結果を出さなければ試合に出られない環境だったので、そこは以前アメリカでプレイしたことが役立っています。

 あとは、ナイキが主催するキャンプに2回、BWB()のアジアキャンプに1回出たことも大きい。その3回のキャンプでも何かしらの賞は取れているので、コーチ陣にアピールする経験をしてきたことが生かせたと思います。

※BWBアジア = バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・アジア(FIBAとNBAが主催するアジアで有望な選手が出場するキャンプ)

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