【NBA】なぜレブロンはダンカンに二度負けたのか?

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by Getty Images

 昨シーズンと同じ、「マイアミ・ヒート対サンアントニオ・スパーズ」というカードで行なわれたNBAファイナル2014――。ヒートはホームで2連敗を喫し、第4戦を終えた時点で1勝3敗と追い込まれた。記者会見で、「過去にファイナルで3勝1敗とリードした31チームすべてが優勝している」と歴史を引き合いに出されると、ヒートのレブロン・ジェームズは、「俺たちが歴史を変える」と力強く語った。

「逆転可能。歴史を塗り替えるのは、俺たちだ。記録は破られるためにある」

 しかし、歴史は繰り返された。

ファイナル終了後に讃え合うレブロン・ジェームズ(左)とティム・ダンカン(右)ファイナル終了後に讃え合うレブロン・ジェームズ(左)とティム・ダンカン(右) 6月15日の第5戦、スパーズが104対87でヒートに勝利。対戦成績を4勝1敗とし、7年ぶり5度目となるNBA制覇を飾った。

 スリーピート(3連覇)の夢を打ち砕かれたヒートの敗因は、どこにあったのか?

 第1戦、スパーズのホームコート「AT&Tセンター」のエアコンが故障した。その影響で、レブロンが終盤に左足のけいれんを起こして退場。レブロン不在になると、最終クォーターで17対36とスパーズに反撃を食らい、ヒートは逆転負けを喫した。「エアコンゲーム」と呼ばれたこの一戦が、今ファイナルの明暗を分けたと言えるかもしれない。しかし、スパーズが挙げた4勝は、それぞれ15点差(第1戦/110対95)、19点差(第3戦/111対92)、21点差(第4戦/107対86)、17点差(第5戦/104対87)というもの。唯一喫した1敗も、わずか2点(第2戦/96対98)及ばなかっただけだった。スパーズは終始、昨シーズンの覇者ヒートを圧倒していたと言えるだろう。

 スパーズが王手をかけた第5戦、勝敗の行方が決定的となった第4クォーター終盤、コート上には両チームともに控え選手が立っていた。スパーズのティム・ダンカンは昨季のリベンジの瞬間を、レブロンはスリーピートの夢が打ち砕かれたことを告げる試合終了のブザーを、両者ともにベンチで味わった。

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