【NBA】スペイン人のマーク・ガソルが米南部メンフィスで愛される理由

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

チームメイトのザック・ランドルフ(右)と勝利を喜び合うマーク・ガソル(左)チームメイトのザック・ランドルフ(右)と勝利を喜び合うマーク・ガソル(左) 1995年の創設以来、チーム史上初のカンファレンス・ファイナルに駒を進めたメンフィス・グリズリーズ。そんなグリズリーズの中で、誰よりも地元ファンの心を掴んでいる選手がいる。スペイン人のマーク・ガソルだ。信じられなければ、チームメイトたちに聞いてみるといい。

 ポイントガードのマイク・コンリーは証言する。

「彼は、チームの他の誰よりも、この町とつながっている」

 ザック・ランドルフも言う。

「ここは、自分の仕事に真面目な人を、喜んで迎えいれてくれる町だ。マークは、まさにそういう選手だ」

 とはいえ、自分の仕事をこなしているグリズリーズの選手は他にもいる。ではなぜ、スペイン人のマーク・ガソルがアメリカ人のチームメイト以上に、米南部の町メンフィスの人たちに受け入れられたのか。それを理解するには、12年前にさかのぼる必要がある。当時、マークはまだ16歳――。メンフィス・グリズリーズの一員になる7年も前のことだ。

 きっかけは、2001年6月27日。マークの兄、パウ・ガソル(現ロサンゼルス・レイカーズ)がNBAドラフト3位でアトランタ・ホークスに指名され、その直後にメンフィス・グリズリーズへとトレードされたことだった。当時、グリズリーズというチームは、バンクーバーからメンフィスに移転したばかり。メンフィスの人たちにとっては、グリズリーズとともにパウ・ガソルがやってきたわけだ。

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