日本人初のWNBA選手・萩原美樹子が語る「日本バスケの未来」

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro  利根川幸秀●撮影 photo by Tonegawa Yukihide

【女子ユニバーシアード日本代表監督・萩原美樹子インタビュー@後編】

 8月29日、リオデジャネイロ五輪のアジア予選を兼ねた女子アジア選手権が中国・武漢で開幕した。日本は2004年のアテネ大会以来となる五輪切符獲得を目指している。今大会で優勝すれば五輪出場が決定。2位か3位の場合は、来年の世界最終予選に回る。体格の大きな強豪国相手に、日本が勝つためにはどうすればいいのか――。長年の課題について、今年7月のユニバーシアードで日本を世界4位に導いた女子ユニバーシアード日本代表ヘッドコーチの萩原美樹子氏に話を聞いた。

前編はこちら>>>「世界4位の快挙。『小さくても勝てる』ヒントを探る」

ユニバーシアード女子日本代表を世界4位に導いた萩原美樹子ヘッドコーチユニバーシアード女子日本代表を世界4位に導いた萩原美樹子ヘッドコーチ――バスケットボールの競技の性質上、体格の大きなチームが有利なのは動かしがたい事実でしょうか。

萩原美樹子(以下、萩原) そうですね。私が現役時代、日本代表のチームメイトが「小さい選手はバスケットをするなって言われているようだ」って言ったのを、今でも覚えているんです。それは、大きいチームが強いということだけでなく、国際試合でのレフェリーの笛は、大きな選手に有利に吹かれる傾向にあるんです。大きな選手に押し込まれないように小さな選手が押し返すと、小さな選手にファウルが吹かれることが多い。それを吹かれると、守りようがなくなるんです。

――それは厳しい現実ですね。

萩原 それでも当然、小さい選手やチームにだって、バスケットをやる権利はある(笑)。それに小さい選手しかできないプレーだってある。国際的に見れば、日本のやっているバスケットボール――ごちゃごちゃごちゃと中でかき回し、外に出してスポーンと決めるバスケットボールは、メインストリームにはなりえません。ただ、それでいいと思います。「他の国にはできない」ということは間違いなく武器ですし、10試合に1試合しか勝てない大きな相手に、勝ったときの喜びは計り知れませんから。

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