【F1】角田裕毅の10位入賞はVSCの幸運だけじゃない 予選5位のアロンソを抑え込んだ絶妙な駆け引き (2ページ目)
【アロンソに抜かれない最善策】
後方からはフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が17周もフレッシュなタイヤで追いかけている。だが、角田はあえてヒュルケンベルグを引き離さずにDRS(※)を与え、メインストレートでアロンソが簡単に抜けないようにする駆け引きを見せた。
※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。
「後ろにヒュルケンベルグがいたので、僕の(1秒以内に留めることによって)DRSを使わせてアロンソのオーバーテイクを遅らせようとしたんです。だけど、アロンソがストレートではなくて僕と同じターン9で抜いたのを見て『あぁ、そろそろ来るな』と思ってペースを上げました。DRSをヒュルケンベルグに与えることで、できるだけアロンソのタイヤを使わせることができたのがよかったと思います」
チームもパワーユニットのモード変更を指示。ラップタイム優先で逃げるのではなく、バッテリーを充電しておいて、追いつかれた時にオーバーテイクボタンをディフェンスとして使えるように、時間と回数を最大限に準備し、抜かれないようにすることを最優先に据えた姿勢に切り替えた。
「バッテリーを使いながらペースを上げて逃げきるか、ペースを落とすもバッテリーはセーブして追いつかれた時に使うか。2通りの方法がありますが、今回はバッテリーを溜めておいて最後のバトルになった時に守りきる戦略でいこうと決めました。
ラップタイム優先よりも、抜かれそうなところでディプロイ(ハイブリッドのアシスト)を集中させて抜かれないようにしながらバッテリーを溜めていき、最後に(オーバーテイクボタンを使って)ポジションを守りきった形です」(折原GM)
VSCの幸運もあったとはいえ、特に第2スティントのミディアムタイヤを保たせたことによって、0.804秒差で予選5位のアロンソを抑えきって10位入賞を果たした。
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