F12025年のルーキーたちを中野信治が分析 いま求められるドライバーの資質とは? (2ページ目)
【ルーキーたちの評価は?】
チャンピオン争い以外では、2025年はたくさんの若いドライバーがF1フル参戦することが大きな見どころです。メルセデスからアンドレア・キミ・アントネッリ(18歳)、アルピーヌからジャック・ドゥーハン(21歳)、ザウバーからガブリエル・ボルトレート(20歳)、ハースからオリバー・ベアマン(19歳)、レーシングブルズからアイザック・ハジャル(20歳)、レッドブルもまだF1で11戦しか走っていないリアム・ローソン(22歳)を起用します。
若いドライバーたちがどれくらい走るのかというのは、シーズンの見どころのひとつですし、僕もすごく楽しみです。2023年のFIA F3、2024年はFIA F2で連続してチャンピオンに輝いたブラジル人のボルトレートは最大の注目株のひとりです。
F2での戦いを見る限り、一発の速さが際立っているようには見えませんでしたが、レースは強い印象があります。ボルトレートは、"予選職人"として一発の速さに定評があるニコ・ヒュルケンベルグとザウバーで組みますが、2024年シーズン終盤にサウバーはすごく速くなってきましたし、もし予選でヒュルケンベルグに近いところにいければ、すごくおもしろい存在になりそうです。
今年、フェラーリとハースから合計3戦出場し、2度の入賞を飾ったベアマンは間違いなく速いと思います。あとはハースの小松礼雄代表がどういう育て方をするのか。そこに注目をしていますし、メルセデスからデビューする最年少のアントネッリは爆発的なスピードはないと思いますが、能力は高い。
2025年、ハースからF1に参戦するオリバー・ベアマン photo by Sakurai Atsuoこの記事に関連する写真を見る
ただ、アントネッリはちょっと線が細いと感じますので、本来の力を発揮するまで多少の時間はかかると思います。それでも経験を積んでマシンの特性を理解してきたら、チームメイトのジョージ・ラッセルを凌ぐ速さを見せるレースも出てくるはずです。
フェルスタッペンの新しいパートナーとなるローソンも伸びしろはありますし、経験を積めばまだまだ速くなっていくでしょう。おそらくレッドブルは、フェルスタッペンがチームからいなくなる可能性も考慮して、将来のエース候補としてローソンを昇格させた面があると僕は見ています。彼が次のチームリーダーになれるだけの資質があるのか、前半戦を見ればある程度見えてくると思っています。
ルーキーたちの活躍の度合いは所属チームのクルマの性能によって違うと思いますが、チームがいかにして若いドライバーたちが戦いやすい環境をつくってあげられるかがカギになります。難しい状況になることは当然シーズンを通して何度かあるはずですが、そうなった時にどうコントロールしてあげられるか。
そこはエンジニアとドライバーとの関係次第だと思います。エンジニアがどういう教育をドライバーに施していくかというところですべてが決まると言っていいでしょう。2024年のシーズン途中からウイリアムズでデビューしたフランコ・コラピントは最初の数戦はすごくいい走りをしていましたが、後半はクラッシュが続き、結果的に2025年のシートを確保できませんでした。
コラピントも速さはあり評価も高かったのですが、ずっと若さと勢いに任せて戦ってしまった。すごくもったいないと思いましたが、チームがうまく環境さえ整えてあげれば、コラピントのように新人ドライバーでもチームメイトに対してけっこう近いところで走るか、上回るレースもあると思います。
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