【F1】角田裕毅が自己ベスト連発で9位死守 限界ギリギリのドライビングにライバルも賞賛 (2ページ目)
【日に日に増す角田裕毅の存在感】
続けて角田は言う。
「やれることはやりました。ペースを見ても正直に言ってハースはレースペースがかなり速かったですし、そのなかでもギリギリまで戦えたのはよかったと思いますし、特に最後にチェコ(セルジオ・ペレス)を抑えきれたのはよかったと思います。でもまぁ......悔しいですね」
クルマから降りたヒュルケンベルグは、角田とにこやかにバトルのことを語り合っていた。
「お互いにリスペクトし合いながらいいバトルをしていましたし、もちろん向こうは勝ったんでうれしいでしょうけど(苦笑)、僕としてもいいバトルだったので、お互いに讃え合ったという感じでした」
ペレスも角田の走りを讃え、4度目のタイトル獲得を決めたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)も角田を讃えた。
華やかなライトアップの陰で、確実に今、角田裕毅というドライバーがその存在感を強くしている。
「フリー走行のままでいっていたら、絶対にこのペースでは走れなかったと思いますし、この順位で終われなかったと思います。今週末はFP1から最後の最後までマシンを改善していくことができたとは思いますし、それはよかったですけど、それでもハースやアルピーヌと比べると、まだ少しコンマ数秒足りていなかったと思います」
純粋なパフォーマンスという点では劣るマシンで、ライバルたちよりも多くのポイントを獲得し、ランキング6位を取り戻すこと。そのためには、想像を絶するような細かな改善の積み重ねで、コンマ1秒を創り出さなければならない。
「理想を言えば、FP1からもっといい状態で走り始められれば(ドライビングの)自信をビルドアップしていくこともできますし、最後の1000分の1秒を争う部分には間違いなく影響してきます。中団グループがこれだけタイトなだけに、予選で前に行くには特にそれが重要になってくると思います。そうやって今回のように予選で最大限上位に行って、最後までもつれるようなレースをするしかないと思います」
6位ハースとは4点差、7位アルピーヌとは3点差。残り2戦で、その差を埋めることを角田はあきらめていない。
煌(きら)びやかにライトアップされる表舞台だけがF1ではない。いや、むしろその裏側にこそ真の戦いがある。角田裕毅が戦っているのは、そんな世界だ。
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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