角田裕毅、予選7位→決勝10位でも冷静 淡々と仕事をこなしてポイントを持ち帰る姿はベテランの風格

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 今季最高の予選7位──。

 ほんの少し前なら大喜びしていたこの結果にも、角田裕毅(RB)の表情には喜びがあふれるどころか、不満だけがにじんでいた。

「今シーズン最高でしたっけ? Q3でアタックをまとめきれなかったのは少し残念ですけど、そこまでのアタックはよかったですし、クルマ自体に速さがなければあれだけのアタックはできませんでしたから、チームに感謝しています」

角田裕毅は地元イモラのファンに笑顔で挨拶 photo by BOOZY角田裕毅は地元イモラのファンに笑顔で挨拶 photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る Q2は好アタックを決めて3位で通過した。もちろん中古タイヤでアタックしたドライバーもいれば、路面の改善が進むなかで隊列の最後方でアタックしたという利点もあったから、Q3でもこのままの順位で行けるとは思っていなかった。

 しかし、Q2のアタックを1回に抑えてまで2セットの新品ソフトタイヤを温存したにもかかわらず、Q3で完璧なアタックを決められなかったことに、角田は不満だった。

 だが、このイモラ(第7戦エミリア・ロマーニャGP)での好パフォーマンスに、角田は浮かれてはいなかった。金曜フリー走行での決勝想定ロングランで苦しい走りを強いられたからだ。

「現実的に言えば、レースペースは予選ほどいいとは思っていないので、FP2のロングランでも自分がまとめきれない部分もありました。決勝に向けてはそこを改善して、最大限まとめ上げていきたいと思っています。

 メルセデスAMGよりも前でレースを終えられれば最高かなと思っていますけど、簡単な相手ではないです。とにかく確実に、少しでも多くポイントを獲ることを目標にレースをしていきたいと思っています」

 前戦のマイアミGPのようにメルセデスAMGを喰うことを意識して背伸びするのではなく、現実的に自分たちが目指すべき目標を見据え、そのためにやるべきことに集中する。悔しさを押し殺し、気持ちを切り替えて、地に足の着いたベテランのようなたたずまいさえ漂っていた。

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著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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