F1勢力図2023を開幕3戦から分析「レッドブル23戦全勝の恐れ」「フェラーリは速さが足りない」「アルファタウリは最下位マシン」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【頭ひとつ抜け出たアルピーヌ】

 しかし、開幕前テストと実戦のデータからCFD(デジタル風洞)や風洞のデータ誤差確認や修正は進んでおり、実際に開幕3戦でパフォーマンスを伸ばしてきている。今後さらに大きなマシン改修を伴った改善も計画されており、来季に向けたコンセプト変更を待たずとも今季型W14の短期的な改善も見込まれる状況だ。

 そして、今季大躍進を遂げたアストンマーティンもメルセデスAMGと上位を争う位置に常につけている。コーナー偏重型のAMR23は中速コーナーが速くタイヤマネージメントにも強いが、空力抵抗が大きくストレート速度が遅いためにバトル競争力には劣る。そのため、遠くはないものの優勝が見える位置にはいない。

 ただ、こちらも現行パッケージはあくまで空力的マージンを持たせて仕上げた"開幕仕様"でしかない。実走データをもとに、これからさらに攻めたパッケージへと進化させていく計画だ。

 一方、フェラーリは一発の速さにおいてもレースペースにおいても苦戦している。タイヤの性能低下を抑えるには予選パフォーマンスを犠牲にせざるを得ず、つまりは根本的な速さが足りていない。

 対して、中団グループではアルピーヌが頭ひとつ抜け出して単独の5番手。それ以外の5チームは0.3秒ほどの僅差の中にひしめいており、サーキット特性によってどのチームが浮上してくるかが変わる。

 そのなかでもハースはニコ・ヒュルケンベルグが一発の速さを見せ、課題だった決勝での速さもオーストラリアGPでは取り戻した。ただし、メルボルンはリアタイヤに厳しいサーキットではなく路面も粗くないため、ハースの弱点であるタイヤマネージメントは問題にならない。こうした特性を持つサーキットではタイヤマネージメントを改善しなければ、また決勝でズルズルとポジションを落とす展開になりかねない。

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