角田裕毅の5位確定ならず「ガッカリ」...最下位レベルのアルファタウリで上位を狙うには「大荒れのレース」を待つのみか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【原因はダウンフォース不足】

「ペナルティのことはわかっていましたので、できるだけ前のクルマについて行け、と言われました」

 先頭のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が高速で駆け抜けてくれたこともあり、隊列のスピードは速く、サインツから7台分の距離があった角田もなんとか4.458秒差でチェッカーを受けて、10位に繰り上がることができた。

 待望の今シーズン初入賞。だが、決して喜べる状況ではない。「5位も有り得た」という落胆もさることながら、純粋なペースでは入賞どころか中団勢のなかでも最下位レベルの遅さだったということもある。

「普通にペースがなかったですね。タイヤが全然温まらなくて、普通にいけばそもそもポイントが獲れるレースではなかったので、この状況下でポイントが獲れたのはよかったと思います」

 12番グリッドからスタートした角田は、ノリスを抑えて走り、セーフティカー中にピットストップしたマシンもいたため、8位まで上がって10周目の再スタートに臨んだ。

 しかし、そこで履いたハードタイヤがうまく使えず、中団勢のアルピーヌ、マクラーレン、ハース、さらにはアルファロメオにまで次々と抜かれる悔しい展開になってしまった。

アルファタウリのペースが上がらない原因は?アルファタウリのペースが上がらない原因は?この記事に関連する写真を見る ストレートの遅さに苦しんだが、実際にはアストンマーティン、アルピーヌ、アルファロメオの最高速は角田と同じだった。しかしDRSを使われた結果、簡単に抜かれてしまった。

 4箇所ものDRSがあるアルパートパークでは、DRSが非常に効果的だったこともある。だがやはり一番の原因は、ハードタイヤに十分な熱が入れられなかったことだ。

 その主原因は、ダウンフォース不足にある。最高速をライバルに合わせようとウイングを寝かせれば、ライバルよりもダウンフォース不足になってしまうのが最大の問題だ。

 今回のアルファタウリは新型フロアを投入し、主に低速域でのダウンフォース増大をターゲットにマシン改善を図ってきた。ドライバーたちは「あまり違いを感じない」と言うが、アルバートパークには低速コーナーがふたつしかないのだから、ラップタイムに及ぼす影響が小さいのはたしかだ。

 しかし、角田はFP1でのスピンオフでこの新型フロアにダメージを負ってしまい、旧型で走らざるを得なくなってしまった。効果は薄いとはいえ、今後の開発に向けて新型フロアの走行データを少しでも多く収集しておくべきだったという点では、手痛いミスになった。

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