岩佐歩夢はF1参戦へ「チャンス十分」。中野信治が若手スターを望むワケ「ペイドライバーに頼る必要がなくなり、健全な世界に」 (3ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【2023年は4人のタイトル争いに注目】

 2023年のF1はマシンのレギュレーションに大きな変更はありませんので、レッドブルが引き続きタイトル争いの中心になるでしょう。対抗馬としてメルセデスが間違いなく上がってくると見ています。

 3年連続チャンピオンを狙うレッドブルのマックス・フェルスタッペンとしては、ハミルトンよりもジョージ・ラッセルが上がってきたほうが嫌だと思います。ラッセルは一見すると優等生そうなのですが、けっこう激しいドライビングをしますし、かなりの野心家です。

 同世代のフェルスタッペンに対しては、敵意をむき出しにしてくるでしょう。フェルスタッペンはガンガン攻められるのが苦手でしょうから、ラッセルとの戦いは厄介なことになると思います。

 その点、フェラーリのシャルル・ルクレールは人間的に"いいヤツ"なので、フェルスタッペンとしては飲み込みやすいタイプです。ただドライバーとしての能力は、フェルスタッペンに引けをとりません。

 フェラーリは2022年シーズンの途中からアップデートをストップし、2023年仕様のマシン開発に集中していました。それがいい方向に進んで競争力の高いマシンを開発できれば、ルクレールはドライバーとして覚醒するかもしれません。

 レッドブルのフェルスタッペン、メルセデスのハミルトンとラッセル、そこにフェラーリのルクレールが加わって、4人がタイトルを巡って正面からぶつかり合うレースを僕は見たいですね。そうなってくれれば、本当に面白いシーズンになると思います。

終わり

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【プロフィール】
中野信治 なかの・しんじ 
1971年、大阪府生まれ。F1、アメリカのCARTおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は豊富な経験を活かし、ホンダ・レーシングスクール鈴鹿(前・鈴鹿サーキットレーシングスクール)副校長として若手ドライバーの育成を行なっている。また、DAZN(ダゾーン)のF1中継や2021年からスタートしたF1の新番組『WEDNESDAY F1 TIME』の解説を担当している。

【著者プロフィール】
川原田 剛 かわらだ・つよし 
フリーライター。1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』を始め、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手掛けている。

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