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マシンはスライドしまくるけど、角田裕毅「これが楽しい」。富士山五合目と同じ標高のメキシコはかなり特殊なサーキット (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

角田「カート時代を思い出す」

 その結果、ダウンフォースも空気抵抗も小さくなる。モナコGPと同じマキシマムダウンフォースの前後ウイングを装着するが、最も薄いウイングを使うイタリアGPと同レベルのダウンフォースしか得ることができない。

 だからマシンは、あちこちでスライドする。だが、これが楽しいと角田は言う。

「メキシコのサーキットはかなり特殊です。ひとつは標高が高くて空気が薄いせいで、最大ダウンフォース(の空力パッケージ)で走っていてもダウンフォース量がかなり少ない。

 去年初めてここでレースをした時、ちょっと変な感じだなとわかりましたけど、すぐにそれに適応することができましたし、自分のパフォーマンスにも満足しています。特に予選パフォーマンスはよかったと思います。低速でトリッキーなセクター2が好きで、マシンをかなりスライドさせて走るのが楽しくて、カートを思い出しましたね」

 空気が薄くダウンフォースが少なければ、ブレーキング時の挙動も不安定になる。空気抵抗による減速効果も、ふだんとは違う。

「すごく重要なのは、ブレーキングを正確にすることです。ここは空気が薄いので、ほかのサーキットと同じようなブレーキパフォーマンスは得られません。スタート直後のターン1はかなりリスクがあると思います。

 今回はFP1でリアム(・ローソン/レッドブルレーシングのリザーブドライバー)が僕のクルマに乗って僕は走れないので、FP2がものすごく重要になりますね。そこでブレーキングの自信をビルドアップする必要があります」

 メキシコの特殊性はそれだけでなく、空気が薄いため、走行風による冷却力も下がる。エンジンに取り込む酸素量を減らさないよう、ターボがいつも以上に仕事をして過給圧を保たなければならない。

 だが、メインストレートが1.2kmに及ぶにもかかわらず、全開率は約53パーセントと低い。それは見た目以上にコンパクトで低速コーナーが多く、低速でゆっくりと走っている時間が長いからだ。

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