日産Z「ちょっと次元が違う」速さの理由はタイヤにあり。ミシュランとのコンビでスーパーGT王座も射程距離 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

鈴鹿との相性がいい日産

 今回の3号車の快走ぶりは、これから年間王座の行方を占ううえで大きな意味を持つだろう。

 鈴鹿サーキットは「ホンダのホームコース」として知られ、今年はホンダNSX-GT勢が優勢にレースを引っ張るのではないか、という見方があった。しかし、予選前から取材を進めていくと、次第に「日産Z+ミシュランタイヤが手強そうだ」という声が各所から聞こえてきた。

 たしかに過去2年(2020年&2021年)、鈴鹿サーキットでスーパーGTシリーズは3度開催されたが、いずれもGT500クラスは日産のMOTUL AUTECH GT-R(ナンバー23)が制している。

 以前、23号車に乗る松田次生から聞いた話によると、2020年に登場したGT500仕様のGT-Rは高速コーナーを強みとする傾向があり、「鈴鹿サーキットとの相性がいい」とされていた。

 だが、速さの原動力はそれだけではないらしい。23号車の足もとを支えているミシュランタイヤのパフォーマンスも、鈴鹿での快進撃に大きく影響しているという。

 現在、スーパーGTにはブリヂストン、ミシュラン、ヨコハマ、ダンロップの4社が参入し、激しい開発競争が繰り広げられている。ただ、GT500クラスの年間チャンピオンを見ると、2016年以降はブリヂストンを使用するチームが続いており、「ブリヂストン絶対有利」と言われていた時期もあった。

 しかし、昨年あたりからこの傾向に変化が見られる。タイヤ戦争の勢力図が変わりつつあり、予選でもダンロップやヨコハマを装着するマシンがポールポジションを獲得することが増えてきた。

 さらに、鈴鹿サーキットでミシュランが勝っていることも、その流れを加速させている。近年は「鈴鹿でのミシュランは相当手強い」と警戒するライバルも多くなった。

 そしてGT-Rに変わって、今季よりGT500クラスを走る「新型Z」の登場である。空力バランスを見直したマシンの投入により、「ミシュランと組み合わされば、手がつけられない存在になるかもしれない」と、日産独走を危惧する声も聞こえた。

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