日産Z「ちょっと次元が違う」速さの理由はタイヤにあり。ミシュランとのコンビでスーパーGT王座も射程距離

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 三重県の鈴鹿サーキットで開催されたスーパーGTシリーズ第3戦。国内トップ3メーカーが競うGT500クラスでは、今季デビューを飾った日産の「新型Z」が圧倒的な強さを見せるレースとなった。

 5月末にもかかわらず、今年の決勝日は午前中から気温がぐんぐん上がって真夏日を観測。レース中は気温35度、路面温度50度と、8月並みのコンディションとなった。ここまで暑くなることは予想外だったようで、各チームは思わぬ苦戦を強いられ、さらにアクシデントやトラブルも多発した。

ミシュランとのコンビで今季初優勝を飾った3号車ミシュランとのコンビで今季初優勝を飾った3号車この記事に関連する写真を見る この第3戦が始まる前、観客の注目を集めていたのはCRAFTSPORTS MOTUL Z(ナンバー3@千代勝正/高星明誠)だ。前回の第2戦・富士で大クラッシュに見舞われてマシンは全損。わずか3週間弱の限られた時間のなか、チームはイチからマシンを作り直して第3戦の参戦にこぎつけた。

 土曜日朝の公式練習では小さなトラブルに見舞われるも、予選ではライバルも驚かせるような速さで3番手を獲得。さらに決勝では1周目からトップに浮上すると、そのまま後続を引き離しにかかり、一時は2番手に20秒のリードを築く。

 しかし、残り15周を切ったところでアクシデントが発生。セーフティカーが導入されて、3号車のリードはリセットされることになった。だが、残り9周でレースが再開されると再び後続を引き離し、力強い走りを見せつけたままトップチェッカーを受けた。

 千代と高星にとってはGT500クラス初優勝。レース後、インタビューで目頭を熱くする場面もあった。

「前回大きなクラッシュがあって......この3週間、チームが頑張って作ってきてくれたクルマを託され、『絶対に1位になろう!』という思いで1周目からプッシュしました。クルマもタイヤもすばらしかった。この(GT500)クラスで5年間、苦しい時もたくさんありましたけど、今日少し報われた気分です」(千代)

「20秒くらいのリードを築いたのにセーフティカーが入って、『俺、ツイてないのかもしれない』という思いもありました。ですが、ミシュランタイヤのウォームアップのよさもあって、2位以下をリスタートで引き離すことができました。前回はクラッシュがあってチームには申し訳なかったですけど......(今回勝てて)うれしいです」(高星)

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