フェルスタッペンvsルクレール、その差わずか0.549秒。3度目のトライでF1王者が魅せた神業オーバーテイク (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

最終コーナーの絶妙な駆け引き

「最初に攻めてこられた時(41周目)には、絶対にメインストレートで自分がDRSを使えるようにしたかった。そのため、ターン27でかなり早めにブレーキングをして、DRSをゲットしてメインストレートで抜き返すことに成功した。でも2回目(42周目)は、マックスも僕がそうするだろうということがわかっていたから、ふたりともがかなり早くブレーキを踏むことになってしまったんだ」

 バーレーンでは3度にわたって抜ききれなかったフェルスタッペンだったが、今回は違った。2回目のトライでは自身もブレーキを踏んでルクレールを先に行かせ、DRSを確保した。しかし、それを見たルクレールは逆に再加速をしてギャップを広げたため、次のメインストレートでも防ぎきった。

開幕戦のリベンジを果たしたフェルスタッペン開幕戦のリベンジを果たしたフェルスタッペンこの記事に関連する写真を見る しかし46周目、3回目のトライでフェルスタッペンはDRSを確保しながらルクレールと並んで最終コーナーを抜け、メインストレートでついにオーバーテイクに成功した。

 ルクレールはあきらめることなくフェルスタッペンを追走し、DRSを確保して逆襲を仕掛けてくる。48周目には0.5秒差で最終コーナーを立ち上がり、いよいよフェルスタッペンを捕らえ返すかと思われた。その瞬間、ターン1で接触事故が起きて黄旗が振られ、DRSが使用不可になってしまった。

 これで、ルクレールは万事休す。フェルスタッペンは残り2周をしのぎきって、0.549秒差で今季初優勝を掴み獲った。

 レース後、ふたりはお互いの健闘を讃え合った。

「僕らは今までにやったとことがないくらいハードにプッシュした。市街地サーキットでリスクも負って、本当の限界ギリギリまで攻めたんだ。だからこそ、こんなレースを終えたあとにはお互いにリスペクトの気持ちを持つものだよ」(ルクレール)

 開幕戦は速さでも負け、戦略でも負け、そして信頼性でも負けた。しかし、第2戦サウジアラビアGPでフェルスタッペンは、そこから見事に立ち直ってみせた。

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