角田裕毅に「2年目のジンクス」は心配なし。新生ホンダも2025年までサポート、再びF1参戦の可能性も? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 もともと一発の速さというより、タイヤマネージメントやレース巧者ぶりを持ち味にしていた周。F1に昇格してからも開幕前テストで着実に走り込み、安定した走りを見せていた。

 アルファロメオはマシンが軽く仕上がっており、バルセロナ合同テストではトラブル多発に泣いたものの、バーレーン合同テストではバルテリ・ボッタスがC3タイヤながら5番手タイムを記録するなど、昨年までとは打って変わってマシンの素性のよさに注目が集まっている。

 素性のいいマシンと、政治的な動きをしないベテランのボッタス、そして過去にはキミ・ライコネンやフェリペ・マッサ、セルジオ・ペレス、小林可夢偉、最近ではシャルル・ルクレールなど若手育成に定評のあるザウバー母体のアルファロメオとあって、ルーキーの周冠宇にはいい環境が整っている。

 史上初の中国人レギュラードライバーの周が活躍すれば、中国でのF1人気の急拡大も考えられ、F1に関わる多くのメーカーが期待を寄せていることも事実だ。アルファロメオも周を使ったプロモーションに熱心で、すでにチームには多くの新規スポンサーも加わっている。そしてもちろん、F1そのもののファン層拡大にも大きく貢献することになるだろう。

 来季のシートを確保するにはシーズン前半戦できちんと実力を証明しなければならず、周にとっては決して楽な状況ではない。今季は90分に戻されるはずだった金曜フリー走行が3日間開催の影響で、再び60分となってしまったことも彼にとっては不運だろう。

 だが、3年間のFIA F2参戦で多くのサーキットを習熟していることも事実。18インチタイヤもすでに2年経験してある。プレッシャーのかかるシーズン前半戦になるが、多くの期待に応える走りを見せてもらいたい。

(後編につづく)

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